森見登美彦

四畳半王国見聞録

今を遡る事 約三年の2010年。四畳半神話体系のTVアニメーションが(個人的に)好評にスタートし、(たぶん世間的に)好評のまま大団円を迎え終わった翌年に、なんだか四畳半と名の付くよく分からないものが刊行されました。 アニメの影響を受けて企画された…

ペンギン・ハイウェイ

ペンギンかわいい。 ペンギンがいっぱい出てきます。どこからともなく街に現れて、物語の中を適当にうろうろしたあと何処かへ消えます。あんまり深い理論とかはない。そんなお話。別にそれでもいいお話。第31回日本SF大賞受賞作。 小学4年生の男の子が主人公…

宵山万華鏡

妙に理屈ばった語り口で阿呆をやらかすことに定評のある森見登美彦さんの連作短編集です。 京都で7月に行われるイベント、祇園祭・宵山の一日を舞台にして異なる6つのお話が語られていきます。各章の始まりに添えられている浴衣を着た女の子のイラストがな…

郵便少年

なんでしょうかこれは、箱に入っています。ほっと文庫というものらしい。 中には短編小説一冊と入浴剤が入ってます。お風呂でhot、ストーリーでホッと、がコンセプトだそうな。ちょっと面白商品。全国のドラッグストアとかスーパーマーケットでも買えるらし…

恋文の技術

なにこれハウツー本?エッセイ? いいえ、ちゃんとした小説でした。 しばし住みなれた土地を離れることになった寂しがりやの大学院生が、寂しくなんかないやいと嘯きながら知人たちに送ったお手紙のお話。その送った何十通のお手紙をそのまま綴じたような構…

美女と竹林 (2日目)

なんとこやつの正体はエッセイであったか。そう作中で言明がありました。 取り敢えず美女と竹林の名の通りに竹林へ竹を刈りに出かけようとするんだけどどうもスケジュールが合わず、仕方がないから妄想と己の語り口だけでひたすら苦心しながらページを埋めて…

美女と竹林 (1日目)

この作者について少し通ぶったふりをしたいなら、この本の事を「小型化した森見登美彦さんちの六男坊」と言うといいでしょう。もちろん嘘さ。 昨年は作者さん原作のアニメ「余剰神話大系」が文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞なんてものを受賞した…

有頂天家族 (2日目)

どうしてこうも面白いお話を書くんでしょうかね登美彦氏は!スンバラシイ。 作者が文章を綴るときの文字選びのセンスがいちいち光っていて、文字を眺めているだけで面白さがあるレベルですよもう。読んでいるときは笑いの絶えない道中でした。 そんな愉快な…

有頂天家族 (1日目)

今時の世間の波に乗るならば「四畳半神話体系」。作者のファンであるならば最新作の「ペンギン・ハイウェイ」あたりが、今は紳士淑女様々なピープルのホットな話題となっていることでしょう。だが私のような文庫落ち狙いのニッチな層でホットなものと言えば…

新釈 走れメロス (2日目)

なんということでしょう、かの名作「走れメロス」が見るも無残な阿呆話になっておられる。いいぞ!もっとやれ! 昨日は元ネタのお話を読んでなくても大丈夫じゃないかなみたいな事を書きましたが、やっぱりあらすじくらいは知っておいた方が良いかもしれませ…

新釈 走れメロス (1日目)

誰もが知っているという名作、「山月記」「藪の中」「走れメロス」「桜の森の満開の下」「百物語」の5つを見登美彦氏が新たな解釈で現代の物語に仕立て上げたと噂される一品です。本当かどうかはまだ全部読んでないから知らない。 さて読む前に個人的に気に…

きつねのはなし (2日目)

うひょぉぉぉぉぉー。なんとも不気味なお話でしたのぉ。 全編にわたってひっそりと進んで行く雰囲気が、蒸し暑さが増してくるこの時期にしばしの涼を運んで来てくれます。静けさが深まる夜に読むと実にタマラン。 少しずつ得体の知れないものに近づいて行く…

きつねのはなし (1日目)

「森見登美彦氏=モテない男の話ばかり書く人」の図式も今は昔。私が一月の初めに出版された氏の長女(夜は短し歩けよ乙女)を読み終えた頃は「もしやこの男、モテる男を書かないというか書けないだけではないか」と推測していましたが、あろうことか私が本…

夜は短し歩けよ乙女 (2日目)

素晴らしきかな森見登美彦。 思わず唸るほどの理論立つ思考体系と泣きたくなるほど程度の低い議題がえも言われぬ魅力を持ち、ガキンチョ相手に全力を出して叩き潰される先輩の何と応援したくなる背中の事よ。 我が道を行くニブチン後輩ちゃんの可愛らしさは…

夜は短し歩けよ乙女 (1日目)

よしきた文庫化きた。 方々から聞く噂と少しばかり嗜んだ著作より、其の節多少なりとも期待が出来ると私の琴線に触れるものがあったが、その重厚なる装丁と最も遠い異物である貧相な財布からは明日からの生活を天秤に掛ける脅迫めいた空洞が広がるばかり。家…

四畳半神話体系四畳半神話大系 (角川文庫)作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2008/03/25メディア: 文庫購入: 71人 クリック: 983回この商品を含むブログ (565件) を見る

女性に縁が無く、性格冴えない、友達いない、しかし自分に非があるわけがない世の中が間違っていると悟りを開き、孤高の存在として自己の研鑽に励む。彼ら現代の賢人たちの生き様はなんと輝いて見えることでしょう。彼らは仮初の幸せに溺れる様なことはせず…