きつねのはなし (2日目)

きつねのはなし (新潮文庫)

うひょぉぉぉぉぉー。なんとも不気味なお話でしたのぉ。
全編にわたってひっそりと進んで行く雰囲気が、蒸し暑さが増してくるこの時期にしばしの涼を運んで来てくれます。静けさが深まる夜に読むと実にタマラン。
少しずつ得体の知れないものに近づいて行く不安感がありながら、終わった後は夢でも見ていたようなあやふやな思いに変わってすうっと消えてしまいました。題字に従うなら狐に化かされたとでも言えば良いのでしょうが、作中の至る所に現れては消える毛に覆われた細長いケモノとやらは狐では無いらしい。しかしこのケモノ、人を惑わしよる。


読み終わった後、気持ちが落ち着いている自分がいます。それがとても心地良いのです。
終わってしまった得も言われぬ寂しさを感じながら、その心はとても満たされている私であります。