新釈 走れメロス (2日目)

新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)


なんということでしょう、かの名作「走れメロス」が見るも無残な阿呆話になっておられる。いいぞ!もっとやれ!
昨日は元ネタのお話を読んでなくても大丈夫じゃないかなみたいな事を書きましたが、やっぱりあらすじくらいは知っておいた方が良いかもしれません。短編の「走れメロス」を読んでてそう思いました。主人公は芽野史郎(めのしろう)という現代の大学生に変わっていますが基本の展開は一緒で、
権力者の無法な振る舞いに激怒し文句を言いに行く → 捕まってある意味公開処刑(ブリーフ一枚で踊る)されそうになる → その前に姉の結婚式にだけは出させてくれと懇願する → 親友を人質に一日だけ猶予を貰う → 実は姉なんかいない → 全力で親友を見捨てて逃げる
とまあ、いささか相違もありますが概ね元ネタを踏襲していると言えるでしょう。即ちメロスの話を知っているなら、この後数々の困難に合い、素っ裸になりながらも親友の下へ駆け付けることになるだろうと予想が付くわけです。予想が付きますけど、こいつ親友の下から全力で逃げているじゃねーか!と全く実現するとは思えません。しかし神の見えざる手によって脱がされていく芽野史郎は着実にメロスを再現して行きましてね。もうね、アホかと。笑い殺す気かと。お腹痛い…。


なんだかアホな話ばかりの様な書き方をしましたが、実は「山月記」と「走れメロス」以外は結構真面目な雰囲気だったりします。まあ、斎藤秀太郎の名前が出て来る度に私は笑っていましたけど。
大変オモチロう御座いました。