はたらく魔王さま!3

はたらく魔王さま! (3) (電撃文庫)


かつて異世界を滅ぼしかけた魔王が日本でアルバイト生活をしているという、一発ギャグみたいなネタのお話の3巻がでましたよ。
さーて、たとえ一発ギャグでも二度目くらいまでは笑いの余韻が残り、三度続けば満足満足といったところ。これで見納めでもいいでしょう!と個人的に思う3巻目の始まりでございます。あ、お話の方はまだまだ続きが出るよ!終わりじゃないよ!
なんで魔王がマックでバイトしてるんだよゲラゲラゲラ、と笑えたのはヘンテコな状況を深く考えずに楽しんでいたうちでしたので、お話が長くなるにつれてあーだこーだ理由をつけ始めると不自然というか納得し辛いものがどうしても出てきて気分もヘナヘナ〜っとなっちゃうのは仕方ないよねー。全力でギャグに逃げれば細かい事なんかどうでもよく出来るんでしょうけど、所々シリアスな場面をなんとしても入れてくる攻めの姿勢の作者さんでございました。
何故魔王なのに少年のように若々しく溌剌とした良い人物になっているのか、なぜそんな好青年が魔物の軍団を率いて人間の世界を征服しようとしたのか、謎の多いお話ですが肝心の核心に迫ろうとすると「あの日見た景色がとても綺麗でな…」という感じに遠い目をしながら話を濁し始めるので、これは突っ込んじゃいけないんだなという雰囲気が漂っておりました。苦しい!世の中の理不尽を黙って納得することはなんて苦しいんだ!
さあならば一発ネタが苦しくなる前に新ネタをどんどん投下するわよ!と今回のお話は新キャラの投入でお話を波立たせていきます。魔王をパパ、勇者をママと呼ぶ赤ちゃんが異世界からやってきててんやわんやします。結構作者さんはリアル思考の持ち主らしく、乳幼児養育の大変さを細かい描写で綴っておられました。でも正直ディテールにこだわる部分はそこじゃないだろ!と思いました。だったら「あの日見た景色がとても綺麗でな…」と遠い目をしてお話を誤魔化した部分にもっと力を入れろよ!
ちなみに実際に魔王が遠い目をしながら呟いたセリフは「…その冷蔵庫、いいものだな」であり、まさか冷蔵庫がほしかったから人間の世界を征服しようとしたなんて…となげやりな解釈したくもなる、やるせなさ漂う一場面でありました。
お話の方は4巻へとまだまだ続いていくでしょうし、魔王サタンの上の大魔王サタンなんてものの存在を匂わせたりしてましたんで、一発ギャグなのに投げっぱなしにならず結末の方に作者さんは何かしらの形でちゃんと辿り着いてくれることでしょうきっと。
でもまあ頑張ってギャグの部分に理由を付けるのでいっぱいいっぱいのまま終わりそうですし、そんな展開じゃ見てるだけでも苦しくなりそうな気配しかしませんし、ボクはこの辺でサヨナラするさ〜。