はたらく魔王さま!2

はたらく魔王さま!〈2〉 (電撃文庫)


かつて異世界を滅ぼしかけた魔王が現代の日本に逃れて貧乏背活を強いられるという、まあ正直一発ネタ気味な設定をしっかりとやり遂げ面白かった「はたらく魔王さま!」の2巻が出ましたよ。
でも下手したら出落ちでもおかしくないこの設定で続きを出すなんて辛いんじゃないんだろうかとチラッと思いましたが、そんなことは作者が考えることでボクは関係ねーや!と読者の本業(読むこと)だけを考えることにしました。おもしろかったらイイナ。
さてそんな感じで読んでみますとやっぱり1巻で展開出しつくしちゃって辛いのか、もう登場させたかわいい女の子とキャッキャウフフするしかやることねぇ!とばかりに甘い空間がまず広がっていました。どの女性陣も正直私のハートまで今一歩魅力が届かないため、甘いというか気持ちワルイというか吐きそう…。あの女勇者とかね、容姿とか性格がツンツンしているのはね、私的には方向性は間違っていないのだよ。ただツンツンなら本気で殺しにくるくらいじゃないと私のハートまではとてもとても…フゥーハハァ! …ハッ!?
ああっこれは旗色が悪い!という感じの最初でしたが、お話が進むにつれて庶民派魔王さまという本来の道に調子が出てきて一安心。極悪非道な代名詞である「魔王」が「平和な庶民の生活をしている」という矛盾から生まれるおかしさが、このお話の面白さの源ですからね。大事にして頂きたいものです。
ただしこの設定は矛盾しているからこそ、この先いつお話が崩壊してもおかしくない危険を孕んでおります。例えば魔王が本気を出して破壊活動を再開したら、せっかく作り上げた平和な舞台が壊れてしまいます。かといって実はかつて魔王が世界を滅ぼそうとしたのは深ーい訳があったのだ!という魔王善人説で行こうとすると、極悪非道なのに庶民派というギャップが壊れます。もうこれ崩壊するの避けられないんじゃないかと思わなくもないですが、そんなことは作者が頑張ることでボクは関係ねーや!と読者の本業(続きを待つこと)に専念することにします。いや、結論を先延ばししてグダグダになる可能性も結構あるかも…待つのどうしよう。
個人的に今回面白かったのは、魔王が戦いでダメージを負いながら次第にパンツ一丁になって敵の下へ向かっていくシチュエーション。ゲームの魔界村の主人公がダメージを食らってパンツ姿になりながらステージをクリアしていく様に似てるなと思っちゃいました。あれは大魔王を討伐しに行く騎士でしたが、そこに真逆の魔王の姿が重なって予期しない、いわゆる天然モノの面白さが生まれてました。あくまで俺限定の話よ。