ほたるの群れ5 第十話「永児、声を聞く」

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ほたるの群れ5 第十話「永児、声を聞く」 | studio ET CETERA


今週のほたるの群れ5は、昼間に海で大はしゃぎした事が嘘のような、静かで穏やかな夜の場面からお送りしています。雰囲気が落ち着いていてなんか良いシーン。
ひとまず今週は、永児くんが見た昔の記憶の断片のような悪夢から始まります。こういう読者が今読んでも分からないような回想シーンは小説ではよくありますが、基本的に忘れる勢いで読み流すのが私の読書スタイル。いやー、だって意味あり気な主人公の夢とか、突然挟まれるポエムみたいな謎の告白とか、後の伏線で「そうだったのね!」と感動する事はめったにありませんし。それに「夢で見た」って何かの証拠に使うにはあまりにもあやふやなものですしね。でも読むものが少ないからじっくり読んじゃう。
特に理由は明言されていませんが、永児くんはやたらと思い切りよく人を殺しちゃったり敵に追われても何とか逃げ切れちゃう体力があったりと、主人公補正のような不思議な力を持っていました。さて今回見た夢で、小さいころに何処か閉じ込められていた場所から逃げようとして、途中で白髪の子供と出会っていましたね。白髪と言えば4巻に出てきた白髪鬼がまず思い浮かびますが、今までの状況証拠からも次第に永児くんがだいぶ昔から暗殺者集団に関わり合いがあった事が匂わされてきています。匂ってきたからと言ってどうなるかは分からん。作者さん頑張れ。
悪夢を見た後は、夜中に汗びっしょりで一人目覚める永児くん。集団生活に支障が出るほどしっかりトラウマになってるやん。でも気分転換に出かけた夜の海で喜多見さんと出くわすという、ちょっと小粋な作者さんからのプレゼントがありましたから結果オーライですかね。好きな女の子とたった二人で海にというシチュエーションなのに、ドキドキとか焦りとか変な緊張をしないのも残念なのかなと頭の隅で思いつつ、傍にいるだけで自然な自分でいられる位に落ち着ける間柄なのがステキでございますね。そのせいもあるのでしょうが、海で遊びに夢中になれていた間は忘れていられましたのに、一人で考え事をする時間が出来ると思い出すのは家族の事。永児くんのお母さんの病状は一旦落着いていて、お姉さんは変わらずに病院で目を覚まさないまま。海岸でのあの場面で永児くんが「スマン、少し泣く」と言ったら、喜多見さんは「おう」と静かに返事をしてくれるに違いありません(喜多見さん男らしすぎる…)
唐突に好きな女の子に向かって写真を撮って良い?なんて聞く永児くんは普通に考えたら変な人でしたが、あの場面ではそれ以上に取り巻く環境が過酷でしたので、凄い真剣さが伝わってきました。もうイチャイチャテレテレなんて気分ではなくて、戦争へ出兵が決まった特攻隊員とその想い人みたいな感じです。写真なんか撮ってイヤラシイことでもするんでしょ!なんて思える方がまだ幸せでしょうか。その一枚の写真を胸に抱いて、永児くんはいつか特攻して死んでしまいそうですし。喜多見さんもその辺はどことなく分かっているような知らないふりをしているような、いい思い出としての一枚を撮らせてくれた、そんな感じがします。
しかし喜多見さんも永児くんが特攻しそうだと分かっているなら少しく(この後、戦時中に兵士がお守りとして恋人の大事な毛を持参したというエピソードに絡めた最低なトークが繰り広げられる予定でしたが、番組終了の時間がやってきたためカットさせていただきます)