【光原百合】扉守 潮ノ道の旅人

扉守―潮ノ道の旅人 (文春文庫)


日本の小さな町で起こるファンタジーのお話らしい。
瀬戸の海と山に囲まれたその土地では、古い井戸から幻の水が溢れ小路を水路に変えたり、故郷を離れた人間が死んだ後一度だけ戻って来たりする場所があるそうな。うむむむ…何やら抗い難い魅力と雰囲気を感じるぞと思ったこの本。このブログに載せたかどうか忘れましたが、昔「十八の夏」という作者さんの作品を読んだことがあったのでちょっと懐かしさも感じたり。あんまおもろうなかった。…なんだこの記憶は。
しかし気になるものは気になるので、今回は読む方を選びました。本日の本はコチラ「扉守」です。
お話の舞台は全て広島県尾道という場所で、主人公は全て違うものの、どことなく繋がりのある7つの物語が入った短編集になっております。実在する町から非現実的な世界へさり気なく移行するお話の数々は、静かながらもわくわくする出来事満載で実にワタクシ好みでございました。
でもちょっと無粋な部分が多いの。ファンタジーな部分にいろいろ説明を付け加えてくれるんだけど、個人的に「いや、そんな無理して理屈を付けなくても…」と思う部分が多いの。
死人が船に乗って帰ってくるのは良いんですけど、その人は懐かしい場所を見に来たんだよとか、動けるのは月が出ている晩の間だけなんだよとか、この後は船に乗って魂の旅立つ先に行くんだよとか、まるで1から10まで知っているかのごとくぺらぺら説明を始めるのは困ったちゃんです。不思議な事が無かったらファンタジーじゃ無くなっちゃうじゃん!止めてくれないかネタバレは!
まあ悪いお話じゃないんですけどね。ただ他のお話も基本的に同じ感じであれこれ不思議な部分に説明を付けてくれます。親切設計です。
ファンタジーなんだけど、違う違うそうじゃないと微妙にむず痒いファンタジーだなコノヤロウ。そんな感じのお話でした。