【向山淳子】ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本

ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本


著者に童話物語の作者である向山貴彦さんが名を連ねていますが、どちらかというと向山淳子さんの方が活躍してるっぽい英語学習本。小説じゃナッシング。まあ、ワタクシ著者の向山貴彦さんのファンですし英語も勉強したいですしで読んで損はなかとですが、どうやら微妙に小説っぽくもなるらしくてじゃあますます損はなかとばいという事になりこの度の運びと成りました。
ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本」、ビッグファットキャットのシリーズ1冊目でございます。
まずこの本を読んだ多くの人がツッコんだであろうタイトルの意味について私からも申させて頂きますと、このタイトルをもう少し詳しく表記すると「ビッグ・ファット・キャット世界一簡単な言語である英語の本」となるはずであり、簡単なのは英語であってこの本自体は割と容赦のない難易度であるということなのです。
あえて学校で習う文法用の専門用語(動詞、修飾子など)を使うことを避け、初心者から入れるよう一からのスタートをしてくれるのですが、本文中の優しい言葉遣いとは裏腹にまるでSASUKEの反り立つ壁の如く猛烈な難易度上昇が始まり、先ほどまでThis is a pen.をやっていたと思ったらいつの間にか長文英語の実戦の地に立たされているというスパルタ仕様となっておりました。日本語訳も全訳ではありません。日本語で考えるな、英語で感じるんだの世界です。ワオ。
こいつはハードな参考書だぜとは思いますが、さらりと中に書かれていることにはなかなか大事な事柄がたくさん含まれており、私のようなリーディングに全力投球している者にとっては、結構頷く事の出来ることが書かれていました。この本はリーディング、特に洋書を読みたいと思って勉強している人の為の学習本であると感じました。なんだ、俺のことじゃないか。
ですので何度も本書を読みなおして、含まれている真意を深く理解することはきっとプラスになる事でしょう。確かにインフレ気味の難易度上昇でしたが、せいぜいネイティブな人間の子供レベルくらいで頭打ちですのでそんなに難しくないと言えば難しくありません。それに私もこの本を読んで少し英語を勉強する勇気を貰った感じがします。サンキュー!
さて、そんなところで本書もそろそろ閉じましょうか…としたいところですが、やはり向山貴彦さんはただ単に学習本として終わらしてくれません。タイトルのビッグファットキャットという猫のお話は、実質たった3ページの英文しか本書にはないのですが、たったの3ページなのにこれが恐ろしいほど心を揺さぶります。たった3ページの悪賢い猫と短気なパイ屋の店主の物語。その3ページに物語のあらゆる要素を詰めた作者の力量にただただ感服するばかりです。
どうやらこの猫と店主の物語はこれからのシリーズで本格的に進んでいく模様。英文での展開になりますが、勉強がてら追いかけていくのが楽しみなお話となりそうですね。