【宮ノ川顕】化身 (1日目)

化身 (角川ホラー文庫)


コチラ、2009年の第16回日本ホラー小説大賞 大賞受賞作品でございます。
んまっ!ホラー小説だなんて薄気味悪くてヤダですわーなんて思っている方がいらっしゃったら、その認識は間違っておりません。私も怖いお話は苦手です。夜、おトイレに行けなくなっちゃったらイヤですもん。
では何故ホラー小説なんてものを手に取っているのかと言いますと、ぶっちゃけると日本ホラー小説大賞ってあんまり怖くないの。
ンだとコラァ!とか怒鳴られそうな気配もしますが、個人的な日本ホラー小説大賞作品のイメージというものは、息をひそめて見入ってしまうような、神秘的で不思議な出来事のお話と出会える場所だと思っています。まあ容赦なく血肉が飛び散ることもよくありますけど。
本日のこちらの作品「化身」も怖がらせるために作られたようなお話ではなく、私の期待通りにヘンテコな世界が広がっており、なんとも観察のし甲斐のあるお話となっておりました。
南の島へ旅行に来た主人公が、森の中にある水瓶のような池にポチャンと落ちちゃいます。普通その後もっともありそうな展開と言えば溺死か、池に落ちたあと這い上がれなくなっているのでそのまま餓死でもするだろうかと思いますが、いろんな幸運が続いてしぶとく生き延びます。正直言ってハッハッハそりゃねーよ!というミラクル続きで遭難と言う暗い状況なのになんだか笑えてきますが、ミラクルにも限度があるだろ!と思わず突っ込まずにはいられない人間辞めました的な進化を主人公が始めまして物凄い事になってました。この怖いんだか笑えるんだか反応に困る状況がたまりませんね。うむ、ええぞ。
この本は「化身」の他にも2編のお話が入っている短編集となっていまして、本日はもう一つ「雷魚」の方も読みました。
小学生の男の子がたまたま溜め池で見た大きなライギョを釣ろうと頑張る内容で、そこで知り合った大人の女性との夏の間の不思議な体験のお話でした。これは割とベタなお話。何処がベタって、終わり方のパターンが。古臭く感じはしましたが、うん、でも悪くないの。作者さん結構おじさまよね。あとライギョの存在感が好きです。でっかいってときめくよね!
あと一つ「幸せという名のインコ」を残して今日はおしまいです。