【小林泰三】天体の回転について (3日目)

天体の回転について (ハヤカワ文庫 JA コ 3-3)


3日目とか書いてありますが実質5日も掛けてようやく読み終りです。読み辛いとかじゃないんだ、ただ時間がなかったんだと誤解無きよう言いたい。
そして一般人には些かハードルの高い表紙でもブレる事のなかった、正統派のハードSF短編集であったとも言いたいです。この作者さんを知っている人なら迷わず行けよ。知らなくて表紙で釣られた人も迷わず行けよ。フゥーハハァー
いや、やっぱりハードSFは誰にでも受けるものじゃないですから適当に行っちゃ駄目ですね。この「天体の回転について」と同じ質のハードSF短編集かつ違うベクトルの表紙詐欺という特性を持つ「海を見る人」に、私の母親が見事に引っ掛かった末路を知っているのでそう思います。
海を見る人 (ハヤカワ文庫 JA) ← 丘で黄昏れる老人と眠るように目を閉じた少女の絵。実はこの舞台が地球ではないとは思うまい。
どうやら私の本棚から暇つぶしに選んだらしいのですが、最初の十数ページから何日経っても挟んだしおりが動く事はありませんでしたね。後ほど話を聞くと予想外の内容だったとのコメントを頂きました。せっかくだから何か目覚めてくれたら面白かったのに、そうはいかないものです。


さてでもそんな事は了承済みの私は、こちらの短編集にとても満足でございますという話。最後の時空争奪というのが、締めに嬉しくなるガチっぷりで個人的に好きです。いやー、どこからその発想を仕入れてくるんだろうと正直思う。SFのプロが張り巡らすアンテナは質が違いますね。
あと作者自らの作品解説が付いていたのですが、やたら完成度が高いのがなんか笑えました。巻末の解説者、この後超解説し辛くないか!みたいな感じで。