キぐるみ (で醜さを隠そうとした少年のはなし) (1日目)

キぐるみ―(で、醜さを隠そうとした少年のはなし) (文春文庫)

いや、なんかこうタイトルとか見た目に凄く惹かれたんだよね。
パッと見、一体これがどういうものか全然分からないんだよ。ヘンテコな設定とかキャラクターを持ち出して来たら、始めは冗談だと思ってかかるのが当然だよね。
それが本当におふざけ目的だったら、ギャグのお話。何が起こっても笑えばいいんだって気持ちになる。
そうじゃなくて、そのヘンテコリンな出来事を現実世界に当て嵌めて真剣に解釈しようとしてると、これはSFとかミステリーとかそういうお話になってくる。何故?如何して?って湧きあがってくる疑問に頭を悩ませながら、最後に答えが出てくるのをじっと待って期待にワクワク。こんな感じで楽しめばいいかなって分かる。


でもたまに、ヘンテコな話で本気で何かを語ろうとしてくるのがあるんだよね。
町の人間はブサイクだと着ぐるみを着なくちゃいけないらしいんだ。そんで町にやってくる人に愛想を振りまいて楽しませなきゃいけないの。
どうしてそんな事をしているのかと言うと、町自体がアトラクションみたいな感じで観光収入で暮らしてるから。
ブサイクだから着ぐるみを着て、美しいと免除されるって規則はなんだそれとか思うけど、自分の生活を切り売りした分だけ優遇措置もそれなりな事を考えると納得するところもある。
ただ、夢の国を演出するんだから現実感ってのは邪魔だよね。おかげでそこに日常的に生活する人たちは、みんな奇妙でおかしなものさ。


どうしてこうなってるのか分かんないけど、そうなってるんだからしょうがない。
こんな息苦しい町で生きる少年がお話の主役。
この息苦しさの原因は周りが教えてくれるものじゃない、自分で考えなきゃいけない。そう少年が決意する、そんなお話だといいなぁって思ってる。
一生懸命悩んで、一杯一杯考えて、そんで最後に自分を信じて進める人間がスキ。
町の中が奇妙過ぎて、わけわかんな過ぎて泣きたくなったけど、少年には負けずに強く生きてほしいとお祈り中。
少しお話が進んだ所で少年は中学生になりました。この世界は時間も容赦無く流れるのか。
どうか彼がこの先後悔しないで生きられるようになりますよーに。