【連城三紀彦】白光 (1日目)

白光 (光文社文庫)
『ごく普通のありきたりな家庭。夫がいて娘がいて、いたって平凡な日常――のはずだった。(中略)
連城ミステリーの最高傑作がここに。』(文庫裏のあらすじより)



書店で手に取ったとき、目についたのは紹介文に躍る最高傑作の文字。
私が連城三紀彦と言えば「戻り川心中」(凄すぎ)なんですが、あれを超えると?マジですか。絶対あり得ない。
やれやれ、寝言は寝て言えよマッタクとあらすじを書いた編集者に半ば呆れながら、書店を出た男の手には「白光」が…。
「もし」や「万が一」の可能性がある限り、僅かな期待に縋る価値は十二分にあるのです。


OK
で、今ちょうど半分くらいなんだが人を信じられなくなってきています。人を疑わねばならないことが悲しいです。どうして嘘をつくのかが解らず悲しいです。自分を偽る人ばかりなのが悲しいですよ…。
ある家族を舞台に殺人が起こりましてね…。近しい人の突然の死に遭遇するだけでも十分辛いことですが、犯人が少し判らなくて誰彼構わず疑わねばならないことに私は物淋しさを憶えます。こう、深くゆっくりと心に沁みますね…。
警察が来た事はあまり関係がないのですけど、皆が事件のことを語りだすにつれゆっくりと崩壊していく家族の関係が何とも言えませんよ。傲慢な妹の所業は間違ってます、献身してるつもりの姉の態度も正しいとは言い難い、耐える武彦だって結局我慢できなかったじゃないか、夢現のおじいさんは初めから逃げています。
みんなみんな何処か間違っているのが分かるんですよ。他の人も同じです。
だからってその間違いのツケを子供に押し付けるのは許したくないですぞ!
死んでしまった人を蔑ろにしないで、真摯に本当の事をこれから語ってほしいですね。