舞面真面とお面の女

舞面真面とお面の女 (メディアワークス文庫)


好きな本 ぼしゅうのコメントより。
>野崎まど先生をおすすめします。ブログを拝見したところ、アムリタ以外は読んでいらっしゃらないようですので…(読んでいましたらすみません)
"舞面真面とお面の女" "死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死" "小説家の作り方" "パーフェクトフレンズ"を読んだあとに『2』を最後に読めば終わりです。(2以外はどれから読んでも大丈夫だと思います)


おすすめありがとうございます。
5冊の本を教えて頂いたのですが、この中の本で最後にどうやら「2」という作品を読むと何かしらの仕掛けが分かってびっくりするらしいです。それ以外はよく知りませぬ。知らなくていいらしいのです。ナニソレ、キニナル!
じゃぁどの作品から読もうかしらと1秒くらい考えまして、こういう時は刊行順でいいんでねぇかと「舞面真面とお面の女」から読んでみることにしました。作者の野崎まどさんは紹介者さんがご指摘の通り、昔1冊読みましたね。当時の感想を見返してみたら「これはおもしろカッタ!」とか「次の作品もぜひ見てみたい」とか書いているくせに、実際に次の作品を読むまで5年以上放置してるとか、マッタク大人って嘘つきね!(でも面白かったという感想に嘘はないんじゃ…。信じとくれ…)「映」アムリタの感想(1) (2)
という感じで本日のコチラ「舞面真面とお面の女」でございます。
お話は主人公の大学院生、真面(まとも)が親戚の叔父さんに突然呼ばれて市街から離れた大きなお屋敷に向かう場面から始まります。お屋敷に辿り着くとそこには同じように呼ばれた従妹の水面(みなも)さんの姿もありました。久しぶりに会った大学四年生の従妹は「お兄様!」と駆け寄ってくる黒髪の美人さんです。おいおい22にもなってお兄様って呼んでくる従妹だなんて…。ちょっと素晴らし過ぎやしませんかね。
他にもう一人、探偵のおっさんが招かれていまして(脇役なので名前は省略!)この3人を前にして叔父さんは肝心の頼みごとを話し始めます。昔自分の祖父が謎めいた遺言らしき文章を家族に残した。あまりにも内容が意味不明だったため今まで誰も気に留めなかったが、先日その遺言に関係があると思われる小箱が蔵を掃除した際に偶然出てきたのだ。探偵の方には遺言状の調査を、工学系の大学に通っている主人公には金属製の小箱の分析を、民俗学を勉強している自分の娘(従妹)には小箱に描かれている模様について何か判らないかをお願いしたい、とのことでした。その昔一代で財閥を造り上げるほどの財を成した遺言状の主。ミステリーの気配を感じさせて、物語の幕が静かに上がったのでした、という感じの内容。
その後は順当に遺言状の謎に進んでいくのですが、肝心の謎の手掛かりがあまりにも見当がつかなくて、私だったらさっそく暗礁に乗り上げたなこりゃ!事件は迷宮入りだ!となってしまいただ成り行きを見守るしかありません。主人公はどうすんだろう…と見守っていると、遺言ゆかりの地を訪ねたら変なお面をかぶった少女に偶然遭遇しました。なんてぇ偶然だ。今のところ、これしかミステリーの糸口が見つからない!頼りなさ過ぎる!
姿格好も出会い方もあからさまに怪しいこの仮面の少女ですが、どんなに目をそらそうともこの子が謎の手掛かりを握っていることは事実なのです。ストレート過ぎやしませんかね。おかげでミステリーの部分はやけにあっさりしているなぁとの印象を受けました。ミステリー独特の二転三転する衝撃の事実合戦もちゃんとあるんですけどね。
この本で完結のような終わり方をしてはいるのですが、脇役にしてはキャラが濃いのにやっぱり脇役だった登場人物とか、いや最後の女性の中の人誰だよとか、何か企んでそうなまま終わる主人公とか、微妙にスッキリしない部分はやっぱりあるように思えます。まるで続編を前提としたお話であるように。悪くはない!悪くはないんですよ!ただお話があっさりしすぎていて、まぁライトノベルはこんなモンだよね?と思っちゃう自分がどうしてもここに!辛口!