【機本伸司】神様のパズル

神様のパズル (ハルキ文庫)


感想書きます。1のコメントより
機本伸司「神様のパズル」をおすすめします。ライトノベルではないですが、読んでいて久しぶりにいろいろ思うことがありました。まず、ヒロインの天才さが上手く表現できていて、なおかつかわいい。天才であるが故の悩みを抱えています。そして、量子物理学などのSF的な用語がでてくるのにその分野に詳しくなくても飽きさせません。


あぁ読んだことありますよそれ! 学校でぼっちになりかけていた所をヒロインに助けてもらったは良かったものの、その彼女が自殺未遂事件を起こしちゃって、納得できない主人公くんは彼女の友人であるニート探偵と協力して事件の真相を探るお話ですよね。




( ゚Д゚)  ああ、それは「神様のメモ帳」だった!   神様のメモ帳 (電撃文庫)





違った。病院の内科医の先生が主人公で、嵐の櫻井翔さんが主演で映画化したり本屋大賞で上位に入ったりして話題になったあれですね。




( ゚Д゚)  それは「神様のカルテ」か!   神様のカルテ (小学館文庫)



違う違う。本格ミステリーを装ったとんでもない仕掛けを施す作者が、小学生向けに書いたと見せかけてやっぱりトラウマになるような仕掛けを施したと噂の…
( ゚Д゚)  ってそれは「神様ゲーム」!
角川スニーカー文庫から出てるライトノベルの…
( ゚Д゚)  ってそれも「神様ゲーム」!



ごめんね。うざかったね。
先日 日記の方で好きな本を教えてくださいと書いたところ、機本伸司さん神様のパズルの名前を挙げてもらいました。ありがたや。そんな感じで本日はこちらの本よりお送りしたいと思います。
この「神様のパズル」というお話ですが、感想は無いのですがブログ開設以前に読んであったりします。おすすめしてくれた方がライトノベルではない事を気にしていらしたようですが、そんなこと全然問題ナッシング。それにお話の内容自体も別にライトノベルかどうかどっちでもええじゃないかぐらいのテキトーな線を行ってると思うので、僕もテキトーな位置にカテゴライズしています。
じゃあついでにどの辺がライトノベルっぽくないのかと個人的に思っている所を上げますと、まずこの本の主題である「無から宇宙が生まれたのは常識じゃん。なら作れないのかな」というでかすぎて想像し辛い話にかなりガチで挑んでいる事と、ヒロインは主人公に惚れなくてはいけないというライトノベルの呪いに捕らわれず、割かし自由にヒロインが動き回っている事かなと思いました。
さて、お話の内容ですね。大学生の主人公くんが四年生に進級し、理学系のゼミに新しく入るところからお話は始まります。たまたまこのゼミには天才と噂の飛び入学少女も配属されており、主人公くんは不登校気味の彼女を正すため先生より命令を受けます。天才肌の彼女は年上の主人公くんに実に偉そうな態度で対応しますが、実際彼女の方が断然頭が良いので圧倒的な力の差を前に無力さを感じる主人公くん。半ば嫌がらせでたまたま人から聞いた「無から宇宙が出来たのなら、人間にも作れるのか?」という問題を投げかけてみたところ、何故か「じゃあ作ってみよう」という運びになり、ゼミで議論することになりましたとさ。という感じです。
ゼミに入った四月から卒業する四月までの一年間の出来事を綴った、一人の大学生の人生の一端を見守るお話です。私が初めてこのお話を読んだのが大学生の時だったので、その時は一足先にゼミから就職までを経験した主人公くんがちょっと先輩に感じたものです。もう一度読んだ今は卒業してから就職もして数年経っていまして、主人公くんの生活を見ていて久しぶりに大学生活の空気を思い出せた気がしました。
お話もテーマの「宇宙を作る」ばかりの内容じゃなくて、一緒に稲も作ったりします。何故かは聞くな。バイトもするし合コンに参加しようとするけど縁がなくて…なんていう事もありますし、まあ要するにとある大学生の一年間を見ながら進んでいくわけですよ。だから結構お話の方はこぢんまりしてる印象を受けます。オイオイ、ちょっと盛り上がりに欠けるんじゃぁないですか?と思いましたが、それなりにクライマックスは派手になってくれますのでお母さんも一安心といったところでしょう。作中の量子力学と物理学の話題はマジでSFしてるのでお父さんも思わず唸っちゃうはずです。
何よりそんな小難しいことは全部ぶっ飛ばして、素直に大宇宙のロマンに想いを馳せるのも良いものです。あとはヒロインの盗撮ビデオのコラージュ疑惑がはっきりしないまま終わったのがどうもスッキリしません。ちょっとその問題の動画を見せてもらって真偽を是非ともはっきりさせたいのですが…あ、いや、なんでもありません。
爽やかサイエンスなお話は、読み終わった気分も爽やかで面白かったですね。