Cookie (11日目くらい)

Cookie


根性でまた一つ洋書を読み終わる。 (; ゚Д゚)  ハァハァ
相変わらず読み終わるのに30日以上かかってますが、今回は基本的に土日にしか手を付けていないので実質11日くらいなんですよ母さん。だから本気を出せばきっと…もっと僕はできるはずなのよ…たぶん。
さて、ではこちらの「Cookie」ですが、2008年にイギリスから出版された子供向けの本となっております。カラフルでなかなか凝った作者さんのHPを見てみますと、このCookieは9〜11歳向けのカテゴリの中にありました。どうやら公式にそのくらいのレベルだと言ってくれているようですね。個々の作品に読み終わったファンがメッセージを投稿できる掲示板がありまして、ちょっと背伸びをしたのかな?なんて思われる6歳の子供とか、中には16歳の年長さんなんかが「おもしろかった!」「イイお話ね!」みたいな一言感想をこの本に残していまして概ね10歳前後の対象年齢通りの読者がついているようでした。あと名前の印象から言って女の子が多そう。ククク…over25(オーバートゥエンティファイブ)の俺のアウェイ感は異常だぜ。
一応児童書という事になりますが、英語の本なので読むのは楽ではありませんでした。子供向けだから簡単だと思った?残念でした俺! え、簡単じゃん?とか言う奴は特別に俺に英語を教える権利を与えてやる!嘘ですごめんなさい調子こきました!
ではそろそろ本の内容をなるべくネタバレするように振り返ってみましょう。たぶんそっちの方が興味を持ってもらえそうだし、この本にもプラスになりそうだしね…
この「クッキー(Cookie)」というお話の主人公は、さえないメガネ娘のビューティーさん。取り立てて良いところはありませんが、悪いところも特にないふつーの女の子です。ただ名前が「Beauty(ビューティー)」といささか特徴的で、かと言って彼女は別段美人でもなく平凡な顔立ちをしているせいで、クラスメイトの女の子から逆に「Ugly(アグリー)」とあだ名を付けられてからかわれていました。ビューティーさんは日本だと「美」の文字が入る系の名前に相当するんでしょうかね。久美とか恵美とかそんな感じの。ただ珍しい名前らしいのと作中のからかわれ具合から想像すると、個人的には「美貌さん」ぐらいストレートな名前である印象があります。アンタのどこが美貌よ、どっちかっていうとブスじゃない、ブス。という感じでビューティーさんは年がら年中からかわれてます。たった一人の友達も自分にだけ優しいわけじゃないアウェー感溢れる学校生活を強いられているビューティーさん。さらに悪いことに家では短気な父親がいつも誰彼構わず怒鳴り散らし、性格そっくりでビビりなママと一緒にヒヤヒヤしながら毎日を過ごしています。
家で無邪気な子供向け番組を見ることだけが心の支えというどん詰まりビューティーさんを見かねて、ママが彼女に元気になるようなニックネームを付けてあげることを思いつきます。「ブス」の代わりに「クッキーちゃん」と呼ばれるべく手作りクッキー作戦を実行するママ。ビューティーさんはクッキーちゃんに生まれ変わり、見事学校生活に溶け込めるのか?鬱屈した彼女はなりたい自分になれるのか?おおまかなお話はそんな感じになってます。
ところでこのビューティーさん、いろいろと惨めな女の子の印象を受けますが、実は家がかなりのお金もちだったりします。財閥とか御曹司とかそこまでのレベルではないのですが、家にプールは当たり前。自分の部屋には風呂が付いていて、自家用車はベンツ。誕生日パーティーでクラスのみんなを貸切シアターにご招待、送り迎えは運転手つきの高級リムジンで、なんてことをやってしまえるお家に住んでいます。普通のさえない悩める女の子という描写をされているせいで目立たないのですが、よくよく見るとなんだコノヤロウと思うようなリッチモンドな生活をしてたりするので侮れません。まあ目立たない原因の一つに、ビューティーさんはお嬢様学校に通ってるためクラスメイトが軒並みリッチモンドであり、「なにあのベンツ(笑)」みたいなセリフが出てくるせいで価値観のレベルが引き上げられていることがありますけどね。それでも描写から見るに、クラスメイトの中でもさらにリッチな方である様子のビューティーさんちは半端じゃありません。
なんだこの勝ち組はと正直思いますが、お話ではそれらは現状打破にあまり役には立たず無駄にしてしまいました。なんとこの本の半分は、学校で「ブス」とからかわれることと、家で父親におびえ続けることで終了。半分過ぎてようやく脱出できたかと思ったら母親と家を出て無収入生活に突入、旅先で出会った厚意に甘えて移住し学校も転校。そこで楽しく暮らせそうだね!終わり!でお話はEND!マジかよそれでいいのかよ。
てっきりからかわれてる学校で「クッキーちゃん」と呼ばれるようになるのかと思っていましたが、ママのクッキー作戦が学校で実を結ぶ前にビューティーさんは転校しました。逆に美人だけど頭も仕事もダメダメだったママが、娘のクッキー作りを通して自信を取り戻して短気な夫と離別を決意、衝動的に飛び出した旅先でも手作りクッキーのおかげで人々と打ち解け「アタシは初めて一人で立ち上がれるようになったわ!」と見事な成長を遂げていました。…え、主人公そっち? ビューティーさんは転校した学校の生徒が普通に気の良い人ばかりで悩みはそれで解決してました。ママのクッキー作戦で成功したのは、ビューティーさんではなくママ自身の方という衝撃。
これは…うん、まあそういうお話も現実にはありですよねー…とは思いますが、納得まではいきませんなぁ俺。学校が辛い!どうしよう! → そうだ転校しよう! → 転校先のクラスメイトは優しい!END はお話として逃げちゃった印象をどうしても受けるじゃないですか。
あとおそらく読者の子供には大不評なビューティーさんの父親ですが、こいつはこいつで哀しいキャラだと思ってしまうのは自分もおっさんになった証拠でしょうか。一言でいうならクソオヤジなんですが、金も美人の嫁さんも持っていて自分も家族のために頑張っているのに、嫁も娘も表面上でしか自分の事が好きではないというちょっと同情するシチュエーションになってます。結構このオヤジ頑張るんですよ。娘のために盛大なパーティーを開いたり、あちこち探してどでかいぬいぐるみを買ってきてくれたりするんですよ。家族のことを想ってなければなかなか出来ない労力です。ただしそれが自分勝手すぎて嫁と娘に大不評。  (アタシたちこんなの望んでない…) → 「なんだ、不満そうだな!気に入らないのか!」 → 「い、いいえ!とっても嬉しいわよ!ありがとう!(内心ビクビク)」という負のスパイラルが延々と続きます。確かにオヤジの態度も問題があるが、なんて不器用な男なんだ…。嫁と娘が不自由しないだけのお金がある、嫁と娘が幸せになる家もある、嫁と娘を大切に想う心もある、ただし嫁と娘からの愛情だけがない…。ある意味哀しい男の物語でもありました。これ悪いのオヤジだけじゃないよ!
いろいろな意味でこの児童書は難しかったです。