池上永一作品に出てくる北崎倫子のまとめ

沖縄の風土とファンタジーを融合させた、マジックリアリズム的独特の作風が魅力的な作家、池上永一さん。
1994年のデビュー作「バガージマヌパナス」から始まり2011年の「統ばる島」以降でも、多種多様な活気あふれる登場人物たちが底抜けに明るい沖縄の空気を鮮やかに彩っています。それぞれの物語には繋がりはなく独立した作品がほとんどですが、池上氏の作品によく登場する要素といえば「御獄(沖縄の神様を祀ってある施設)」「セヂ(霊力みたいなもの)」「ユタ(沖縄の巫女さん)」「オバァ(お婆さん)」そして「北崎倫子」です。
登場人物の名前ながら、まるで一般名称のように時代も場所も選ばず現れる謎の人物。各作品に繋がりがあることを示してるのかパラレルワールド的に分裂した人物なのか、とくに本編では語られることはないので何なのかはわかりません。わからないけど何故か作者がこだわっている「北崎倫子」。きっとこれからの作品にも登場することでしょう。今後明かされるかどうか分かりませんが、これからの活躍をファンなら要チェックですね。


【北崎倫子登場作品メモ】
・基本プロフィール : 女優、美人で毒舌の持ち主。演技力には定評がある。


風車祭

初登場。1996年の沖縄県石垣島に今をときめく新進の美人女優、北崎倫子がいたと地元で話題になる。しかし実は妖怪豚のギーギーがオバァの入れ知恵で変身した偽物。言葉も喋れず四足で走っていくなど人間離れした行動を見せるも、「倫子は昔、動物の役を演じていたんですよ」とファンに奇妙な納得の仕方をされる。漫画版ではいきなりピシャーマに変化するので出番ナシ。



復活、へび女(改題:あたしのマブイ見ませんでしたか)

短編集。現代。「復活、へび女」に北里のり子という微妙に似た名前の老婆が登場。たぶん別人。「宗教新聞」に板里紀子という微妙に似た名前の女性が登場。たぶん別人。



レキオス

2000年の沖縄那覇。夜中ロシアンルーレットで遊ぶ変態学者とユタのオバァの場面で背景として登場。インスタントラーメンを啜っている看板の女性が北崎倫子。CMの女王になっているようだ。登場シーンは3行くらい。漫画版にはなし。



夏化粧

現代の沖縄。本人登場。作中のルビで倫子(のりこ)とはっきりと明示される。ドラマの撮影で沖縄を訪れる。素晴らしい演技の才能を持ちながら、病気の弟の為に金払いのいいCMやバラエティをメインに出ていることが明かされる。共演者の俳優を得意の毒舌で社会的に抹殺したのち、国際映画「アルカディア」の主演の座を見事に獲得。世界のノリコ・キタザキとして大女優への道を歩みだす。



ぼくのキャノン

現代の沖縄。主人公の少年が持つヘアヌード写真集に登場。裸で百メートルハードルを飛び越える写真や鞍馬をする写真が掲載されており、躍動美を表現している一冊との事。写真集の次の章では野外でのゲリラ撮影に移行。警視庁前や国会議事堂、はたまた成田の関税などに裸で果敢に挑む。写真集自体は発禁処分を喰らう。



シャングリ・ラ

21世紀半ばの近未来。東京都に建つ超巨大建造物「アトラス」の中に、北崎倫子記念館がオープン。人々には往年の大女優や、不朽の名作「アルカディア」の主演女優として記憶されている模様。また昔発禁処分になったヘアヌード写真集は伝説の一品となってファンに認知されている。アニメ版シャングリ・ラの15話にも、アルカディアのポスターが登場してお姿が見れます。池上さんがスタッフに要望を聞かれたとき「お願い」した結果らしい。とにかくこだわってます。漫画版には出番なし。



テンペスト

19世紀末の沖縄。風車祭での目撃から約150年前に遡り登場。ヤマトゥンチュ(日本人)の巫女として王宮の祝いに招かれた内の一人。本土で雅楽の名手として名を馳せており、面ひとつで千の人物を踊り分ける。天照大神から八岐大蛇、はたまた日本武尊までを演じ分け王宮の面々を圧倒する。ドラマ版では登場なし。



トロイメライ

19世紀末の沖縄。テンペストと舞台は重なっており、テンペストで踊りを披露した後にこちらにやってきた模様。遊郭街の宿で高級娼妓の代役として神楽を披露する。王宮で披露した時と同じように照大神、八岐大蛇、日本武尊を演じ分け、見る物を一方的な感動に叩き込む。八岐大蛇は首のひとつひとつを演じ分ける怪演ぶりだったとか。



黙示録

18世紀初期の日本。了泉たちが江戸へ付いた際に立ち話の内容で登場。歌舞伎役者の市川團十郎の不倫相手となっている様子。ただしどちらも目立つ人物な上に堂々としすぎているせいで言わないまでも江戸中でバレバレなのだとか。でも地元新聞にスクープされるのは嫌らしい。テンペストより約100年遡っての登場です。



ヒストリア

1940年代後半のボリビア。知花 煉が沖縄からボリビアに移住した頃に見た、チョリータ・プロレスのプロモーターとして登場。日本で女優をやっていてハリウッドに進出予定だったが、プロレスに目覚めて現在は南米中の興行を請け負っているとの事。



海神の島

2019年の日本。主役の三姉妹の三女、澪の会話の中で名前が登場。大河原監督によって撮られた作品で出世し、世間では映画の大スターと認知されているようです。



・今後も見つけ次第追加していきます

(追記:出て来なかったやつ)
トロイメライ2、統ばる島、バガージマヌパナス