テレビドラマ 「テンペスト」 最終回


池上永一氏原作、テレビドラマ版テンペストも無事最終回を迎えました。(全10回)
時代は琉球から沖縄へと移り、移ると同時にこの孫寧温(そんねいおん)のお話も幕を下ろすことになりました。原作が大好きな私から見ましても非常に丁寧な作りのドラマであったと思いますし、琉球の色鮮やかな景色と琉球の舞踊、そして唄など文章では伝えきる事の出来ない世界観を新たに提示してくれたところはドラマならではの魅力でもありました。内容の方はおおむね原作の内容を消化しきったんじゃないでしょうか。基本的にエピソードの追加はなく、所々短くした部分はドラマには結構ありましたけど。
あ、そういえば一番最後、孫寧温と浅倉雅博(あさくらまさひろ)が再開した時に「はじめまして」って言うところはドラマ版でのオリジナルですね。すいません、あそこはドラマの方が好きかもしれません。そっかーはじめましてなのかー!いろいろ思い出して思わず泣いちゃったじゃないか!
そんな感じですが結末なんかも特に違いはないので、ドラマ版で満足できた人は小説版テンペストを頑張って読む必要はないと思いました。それくらい良い出来のドラマでした。もちろん原作を読んでも大いに出番が減らされた人物がたくさんいるので楽しめると思いますけど!そういえば原作にはオバァがいない!そこは注意だ!
むしろドラマ版で原作に興味を持った人におすすめなのは「トロイメライ」の方でしょう。テンペストと同じ舞台のお話で、登場キャラクターはトロイメライのオリジナル。連作短編の作りですけど、ゲストキャラクターとしてテンペストで出てきた登場人物がお話に加わることがあります。ちっちゃい孫寧温とか出てきます。言わば外伝的な作品なんですけど、テンペストの単行本上下巻、文庫本なら4冊にも及ぶ長編を読まずとも、ドラマ版を見た今なら気兼ねなく手を出すことが出来ると思いますね。まあ私なら上下巻、文庫本4冊なんて長さはご褒美以外のなにものでもありませんので、もし読んでなかったとしたら全部読むと思いますけどね!だって面白いからさー!
さて最後に、テンペストファンじゃなくて(もちろん好きだけど!)本当は作者の池上永一ファンである私になって再度ドラマ版を思い出してみますと、実は結構ダメダメだよキミ〜と言わざるを得ない出来であったと思います。何がいけなかったのかというと、NHKは真面目に作りすぎています。この作者さんはかなりお笑いの要素がお好きな人でして、ギャグでやってるのか本気でやってるのか区別のつきにくいシュールな笑いを作品に取り入れる楽しいお人なのです。ああそうさ、ドラマ版には笑わせてくれるところが本当に少なかった。北崎倫子(作者のお気に入りの謎の人物)も出てこなかった。そこは残念だったと言えば残念でしたけど、ちょっとそれは高望みしすぎでしょうかね。
本当にいいドラマでしたよ。