おちゃらけ王

おちゃらけ王 (メディアワークス文庫)


( ゚Д゚) 馬鹿が出たぞー!!
メディアワークス文庫から今月登場の新しい人でございます。そしてこれがなかなかグッド!なのでございましたのよ奥さん。何がグッドなのかと言えば、おちゃらけ王なんていう名前に恥じないがなんとも恥ずべき阿呆っぷり見せてくれるという、まあぶっちゃけて言えば実にワタクシ好みの作品であったというわけでございますのよ。
最初いきなり魔王だとかダルガリア王国とかファンタジックな言葉が出てきましてあれーこれは架空戦記とかいうやつなのかもしかして?読む前の印象となんか違うなーなんて思わされましたが、なんてことはないただの大学生が全力で現実逃避したいがための妄想の産物であって一安心。そんでもっておやおやこれはもしや腐れ大学生という、今は森見登美彦氏が一人せっせと耕しているフィールドのフォロワーではないのかという雰囲気を感じ取り私の気分も上昇志向。挙句に私の心を見事キャッチした決め手は、舞台は現代日本っぽいのになんの説明もなく突然コップサイズに小さくなっちゃう妹、魔術の如く煙草の煙を操る主人公くんのシュールなその姿! こいつは間違いない! マジックリアリズム的表現技法を使う人がまた世の中に出てきましたねこれは!
まあマジックリアリズムなんて言葉の定義は正直ワタクシ未だにイマイチ理解できていないのですが、要は私は「よく考えればありえないような事がなんでもないようにさりげなく書かれているギャグなのか真面目なのかよくわからないお話」みたいなものが好きで、そんなお話を書いている作家さんがマジックリアリズムという枠に分類されているのを見つけてそんな感じなのかなーみたいな程度に思っているだけですけども。
そして私がぱっと思いつくマジックなんとかっぽい作家さん(だいたいの作風)と言えば、池上永一氏(沖縄)、森見登美彦氏(腐れ大学生)、万城目学氏(社会人)、古川日出男氏(子供から犬までのよくわからない何か)とかがおりまして、このおちゃらけ王は怠惰な大学生のお話なので森見登美彦氏の領域に近い作品だなと思いました。くそぅ、個人的には池上永一氏寄りの人が出てきてくれたらもっと嬉しかったんだけどねー!
さらに言うならばライトノベル的な要素(美少女、異能力バトルetc)も混ぜてくる電撃大賞らしさも感じられて新たな方向性になんともワクワクさんです。
この作者さんの次の作品が非常に気になる! 出来れば続編じゃなくて新作で! なんかこう、作者の個性はまだまだこんな程度じゃ終わらない気がとってもしますね。きっとできる子だと私は信じてる!