ナイチンゲールの沈黙 (4日目)

ナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)
これはすごい。

いやっほう!大事に読んで4日間、とうとう終わっちゃったぜぃ!
前作のバチスタスキャンダルから9ヶ月、不定愁訴外来で今日も患者の愚痴を聞き続ける田口先生。季節は冬。年末も近づきつつある頃を舞台に、重度の病気と闘う子供たちと小児科医と看護師たちにスポットを当てながら、臨場感あふれる医療現場の様子と医師や患者の交流と先端医療と歌とミステリと変人と事件と警察ともう色々入り乱れる濃密な作品となっております。これがエンターテイメントってやつですか!楽し過ぎです。
本書の豊富なボキャブラリーもさることながら、物語を引っ張り回すパワーを持った登場人物がなんと多いこと。決められたストーリーに引きずられる奴なんか容疑者だけじゃないかと思うくらい縦横無尽に物語を進む奴等です。おかげで田口先生がめっさ影が薄くなってますよ。
あと現役医師によるオイタ描写はちょっぴりパヤイです。細部に渡るきめ細やかな心配りは、育ちの上品さがどうしても滲み出てしまうお嬢様気質なんでしょう。優雅な物腰で語るのはまさに大自然の神秘、そこからちらりと覗けた深淵は気が付かなかったことにしましょうかね。うふふふ。そういえば人間にはそういうものが詰まってましたわね…。作者の本気を出したらと思うと恐ろしい…。

先端医療に化学捜査と作者はデジタルばりばりの現実思考派なのかと思いましたが、今回けっこう理論を跳ばしたファンタジーもやると分かったのが良かったですね。少し不思議な可能性の世界、大好きです。これからそういう方面の物語も書いてくれるかもと期待しちゃいますよ。


チームバチスタの栄光(過去)とナイチンゲールの沈黙(現在)は非常に面白かった!今後の展開すら楽しみな海堂尊氏の(未来)も合わせて面白いの三冠達成ですよ。
だから作者さんへ
どうか次回は氷姫こと姫宮嬢をよろしくお願いいたします。