【法条遥】リライブ

リライブ (ハヤカワ文庫JA)


好きな本 ぼしゅうのコメントより。
>こんにちは。法条遥さんの『リライト』『リアクト』『リビジョン』『リライブ』の全四作をオススメさせていただきます。四作はすべて”時”に関するお話で、『リライト』は、いわゆるタイムリープものです。四作の内容を端的に表したものが、amazonのあらすじ欄に書いてあったのでコピペします。
『未来へ跳んだ夏(リライト)、過去を変えた秋(リビジョン)、時に挑んだ冬(リアクト)。すべての出来事は、この完璧な春(リライブ)のために』
ちなみに『リライブ』が最後になり、こちらはついこの間でたばかりなので、実はまだ読んではいないのですが・・・きっと面白いです(見切り発車)。難解なのでついていくのが大変なのですが、夢中になって読みました(リライブ以外は)。クリハラさんの感想を楽しみにしています。そして私はそれまでに『リライブ』を読みます。



おすすめありがとうございます。その4。最終回。
「リライト」「リビジョン」「リアクト」「リライブ」の4作品をこれにて読み終わることになります。いやぁ、終わったんですなぁ。
(; ・`д・´) <ゼンゼン分かんねぇ…!よし、ややこしすぎて深い所の理解は諦める!
そんな感じでシリーズ最終章へ突入です。紹介者さんはもう「リライブ」を読んだのでしょうかね。こっから先は未読の人は進んじゃダ・メ・ヨ♪のネタバレゾーンのはずですが、内容の解説なんて出来やしませんのでもうわかりません。ともかく出陣!





<〜ここから〜>
さーて最後のお話はどんなかな?とスタートしてみれば、新キャラクターの小霧さんという方が全てのお話に決着をつけるべく主役に抜擢されていました。どういうわけか死んでも転生を繰り返す体質で、本人もよく分からないまま何百年もの人生経験を積んできたお方です。秘密道具で未来から飛んできた人、秘密道具で未来を見通せる人、秘密の本で未来が分かっちゃった人が入り乱れて歴史改変の総合格闘技戦をしている中に、新たな選手が参戦したわけですね。カオスですね。
「リライト」「リビジョン」「リアクト」の中で散々タイムパラドックスについて説明がされ、今まで何が起こっていたか説明がされてきましたが(よく分からなかったけども!)、まだあからさまに秘密にされていることが残っているのは流石に私でも分かっていました。シリーズを通してずっと出てくる物語の主人公、保彦くんの正体についてとうとう明かされるのが今回の「リライブ」のお話です。
さて、今回主役を張る小霧さんは現在自身の結婚式の真っ最中。長い人生の中で死んだり殺されたりと散々な目にあってきましたが、平成の世の中でようやく平穏を掴んだらしくそれなりに幸せな様子です。そして彼女はシリーズの主役に相応しい出自も兼ね備えていました。彼女のお兄さんが保彦くんだったのです。出ました保彦くん。1990年代に生まれた保彦くんは一人っ子で兄妹はいなかったのに、何故か妹がいるんですよね。でもこの保彦くんは同一人物です。そして2300年代にタイムリープ薬を作って1992年に飛んできた未来少年 保彦くんは、1990年代に赤ん坊だった保彦くんと何故か同一人物という事が今までのシリーズで描写されていました。お前300年後の未来に出てくるならちゃんと死んどけよ!あと子供は1年で1年分ちゃんと成長しとけよいきなり中学生くらいになってるなよ!いつのまに妹こさえたよ!と人類の歩みを無視した不規則な成長っぷりに今まで混乱させられてきたものです。ちなみに保彦くん、現在は妹である小霧さんの結婚式のスタッフになりすまして、お祝いのスピーチをしていました。ここにも保彦がいるのか!というかお前「リライト」の後でちゃっかり未来に帰れてたんだな…。
今度は何する気だ保彦の野郎と身構えていますと、彼が始めたのは今までの「リライト」「リビジョン」「リアクト」の種明かしです。この小説の序盤から最終章まで続く分量の解説を結婚式のスピーチで語り始めます。長っ!!招待客もそりゃ戸惑うよ!
ところで2300年代という未来でタイムリープ薬を作った保彦くんと、1990年代に生まれた保彦くんが同一人物だという描写は今までされてきましたが、何故そんなことになっているかという説明は今までありませんでした。単純に考えれば今まで散々登場してきたタイムリープ薬を呑んでまだ幼い保彦くんが未来に吹っ飛べばいいですが、その後この現代っ子が未来でもオーパーツレベルのタイムリープ薬を発明しなくちゃいけないわけで不可能のような気がします。今回の保彦くんのスピーチでその辺も語られましたが、本人曰く「未来に飛んだショックで一時的に記憶喪失になって、現地では里親に預けられた。その後教育を受けて一人暮らしをして時を超える力を開発した」とのこと。あまりにさらっと流し過ぎてワタクシちょっとショックです。「普通作れるわけねーだろ!」
まぁ前作の美雪さんの両親は、やっぱり未来道具で記憶改変して用意したんだ…とか疑問だった部分がいくつか説明されますので、保彦くんのスピーチも無茶なところばかりではありません。ただいきなりこんな謎な話をされた花嫁である小霧さんはたいそう困惑しているに違いないでしょう。兄妹仲は悪くなかったようだし小霧さんも転生するというある意味変人ですから、もしかしたらセーフかもしれませんね。ただそのあとお兄さんは話に調子が乗っちゃったのか、妹さんの転生の謎についても解説を始めるんですよね。細かい話をぶっ飛ばしてタイムリープ薬を完成させた保彦くんですから、小霧さんの輪廻転生を食い止めるために過去に飛ぶなんてことは簡単なんですよ。ただタイムパラドックスのジレンマか、無理やり変えようとすると更なる被害が広がるからとかで、結局1000年の過去は変えずに平成の現代まで待たなきゃならなかったらしいのです。妹が苦しみ死んでいく姿を、ただ見ているしか出来ないお兄ちゃん。お兄ちゃんの保彦くんはその時何も出来なかった自分を非常に悔いていまして、その苦しい胸の内をスピーチで絞り出すように訴え始めます。その心中は察するに余りありました。僕が平成の世の中でデートをしていたとき、ある年の妹は戦火に焼かれて死んでいた。僕がクラスの人間に甘い言葉をささやいていたとき、ある年の妹は武士から暴行を受けて殺されていた。結婚式のスピーチで明かされる、まさかの花嫁の死亡遍歴暴露!
(; ゚Д゚) <お兄ちゃん!それ以上いけない!
前代未聞の衝撃のスキャンダル。とても正気の沙汰とは思えません!この時の小霧さんの様子は描写されずスピーチが続くのですが、どんなに兄妹仲が良かったとしても小霧さんブチ切れものですよこれは。ただ保彦くんがスピーチにのめり込み過ぎて発言するタイミングがなかったのか、しばらく放置されてそのままうやむやにされていました。おかげで保彦くんの暴露は止まることなく続きます。小霧さんは生まれつき目が見えないのですが、これをお兄ちゃんである保彦くんはなんとかしたいと思っていました。そしてたまたま今日、小霧さんは目の手術をした後で結婚式に臨んでいました。保彦くんはスピーチで小霧さんに語りかけます。僕は小霧の目を治すために、未来へ、過去へ、今までの事をやってきたんだ。小霧は気付かなかったろうけど、手術も準備は大変だったんだよ。でももう君の目は見えているはずさ。ほら。
つまり多くの人間の人生を都合のいいようにちょっといじっちゃって、自分の目を治してもらったということでしょうかね…。
(; ゚Д゚) <お兄ちゃん!それどう聞いても素直に喜べない!
ラスト、スピーチで言うだけ言って満足して消えていく保彦くんに駆け寄っていった小霧さんは、間に合ったのなら何をその時したかったのでしょうか。思いっきりひっぱたきたかったという可能性を私は捨てきる事が出来ません。ラベンダーの花言葉「あなたを、待ってる」を言い残して未来へ戻っていった保彦くんは、転生を繰り返していつか未来に生まれてくるであろう妹を心待ちにしているのかもしれません。逆に「あなたを、待ってる」の言葉をかけられた怒り心頭の妹は、「未来までかかってこい!」という挑戦状だと受け取り、遥かな未来でのリベンジまで執念の転生を繰り返すのかもしれません。そして運命の未来、ワクワクしながら待つお兄ちゃんの前に遂に辿り着く妹!「まってたぜ…この瞬間をよぉ!!」
ただ妹の輪廻転生を止めたせいで今度は保彦くんが1000年の牢獄に囚われるとかなんとか、そんな説明もありましたのでそうなる可能性もあまりないっぽいです。実際何が起こるかは、相変わらずさっぱり分かりませんでしたけど!
ともかく無理やり気味にでも最後まで読みました。タイムリープだとかタイムパラドックスは理屈じゃなくて感覚でゴリ押ししている感じのお話で、ハードSFとかとはまた違った雰囲気の本でした。ただもう、ほんとこんがらかって大変だったよ!