【吉田篤弘】つむじ風食堂の夜

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

クラフト・エヴィング商會という名義でユニットを組んで著作物を出してるんだけど、片っぽの方が元気に本を出版してるのを見て勝手に不穏な妄想をしてたよ。
ご夫婦だったのね。
クラフト・エヴィング商會の文字を見て、これ出版元?そう考えてた時期が僕にもありました。
おう、そんなくだらないことはさて置いて。
薄めの本を開いた目次に見えるは8つのタイトル、これはいつもの短編スタイルで行くしかないね。という訳で一個ずつ見ていくよ。


「食堂」
なんだか古臭くてこじんまりした食堂に到着。客いわくここは「つむじ風食堂」だそうな。ということは表題作ですかね。
あぁ、とっても気分が落ち着くなこの空間はぁ。店の雰囲気に酔い痴れて、客たちの話に耳を傾けてるうちに気付くと物語が終わってた。
訳わかんないままだけど、雰囲気雰囲気。うん、雰囲気重視さ。



エスプレーソ」
今度は手品師の父親を持った息子の思い出話ですね。
もういない父親に思いを馳せながら、成長した息子が父親の影響を濃く受けている様を見てしんみり。
なにこの心地よい空間。



「月舟アパートメント」
ここで短編集じゃない事に気付く。
え、じゃあ訳わかんないまま終わった最初の男と次の息子は同じ人なのか!点が線で繋がった感じです。
うん、一人で勝手に勘違いしてたんだね。仕方ないね。
という訳で残りは全部一纏めということで…となるんだけど基本は同じ感じだったんだよね。落ち着き空間、静かで心地良いのさぁ。
主人公の私と近所の人々との交流話で静かに進むのです。なんともいえんね。なんともいえんけど、最後にグッときた。粋な父ちゃんだ。
ナイスな物語だったぜ。

え、この秋映画化?