パーフェクトフレンド

パーフェクトフレンド (メディアワークス文庫 の 1-5)


好きな本 ぼしゅうのコメントより。
>野崎まど先生をおすすめします。ブログを拝見したところ、アムリタ以外は読んでいらっしゃらないようですので…(読んでいましたらすみません)
"舞面真面とお面の女" "死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死" "小説家の作り方" "パーフェクトフレンズ"を読んだあとに『2』を最後に読めば終わりです。(2以外はどれから読んでも大丈夫だと思います)


おすすめありがとうございます その4。
前回は小説家の作り方を読みましたので、こちらのパーフェクトフレンドを読んでみることにします。これでどれから読んでも良いと言われた4冊も読み終わり、最後の「2」へ向けて舞台が整うのだという感じでしょうか?
本日読んだ本はこちら「パーフェクトフレンド」。やたらとアニメちっくな可愛らしい女の子が表紙にずらりと並んだ装丁が目を惹きますね。みんな小学4年生ですってよ奥さん。読者のターゲット層は同世代の小学生か、はたまた一回りも二回りも大きい世代へ向けてか…。
さてお話ですが、パーフェクトフレンドのタイトル通り、友達って何さ!という問いが割とストレートに全編に渡って論じられる青春劇です。小学4年生に進級してドキドキワクワクの初日のが終わった後、真面目な委員長タイプの主人公さんは先生にちょっとしたお願いをされることになります。実はクラスには転校生がいるんだけども、去年の転校以来一度も学校に来ていない不登校の生徒がいるらしいのです。親御さんの頼みもあって、会うだけでもいいからちょっと見に行ってあげて欲しいなとなかなか難易度の高い仕事を引き受ける事になりました。というかこれから帰る間際になって言うなよというタイミングでしたが、ついでに一緒に帰っている友達2人も連れてプリントを届ける名目で目的地へレッツゴー。その生徒の家に着くと、不登校の生徒本人がお出迎えしてくれてお茶まで出してくれました。不登校の割に結構しっかりしたお嬢さんです。さらにはこの生徒の話を聞くと、小学4年生にして大学で博士号も取得した飛び級少女だったという事が判明しました。つまり今さら小学校に勉強の為に通う理由はなかったのです。なんてことだ!
委員長タイプの主人公さんはこの話に納得する所はあれど、同級生なのに自分よりぶっちぎりで頭が良い少女が気に入りません。なによ!この女。人よりちょっと頭が良いからって偉そうに!キィー!理屈に勝るのはいつだって感情です。「あんた友達いないでショ!!」と天才少女だけでなく私の心も抉る強烈な一言を放って応戦します。あかんでぇ、その言葉はあかんでぇお嬢ちゃん。事実でも友達ってそうやって比べるものじゃないでぇとおろおろする私に対して天才少女は「友達ってなんでショ。興味が出たから学校に行ってみるよ!」と思わぬ切り替えしで委員長にカウンター。奇妙な経過をたどりましたが、めでたく不登校を辞めさせることに成功したのでした。そして面倒くさそうな少女に絡まれた委員長の明日はどっちだ!という感じのお話です。
小学4年生が登場人物という事で対象年齢が低そうですが、児童文学作品かと聞かれるとそれもまた違う感じがしますね。かなりファンタジー寄りの小学生像でしょうか。要するにアニメちっくなアンリアルさなので、自分の小学校時代を思い出して共感するような世界観じゃないってことです。博士号も持ってる天才少女はいいとして、普通の生徒である主人公の委員長も、小学4年生らしからぬボケとツッコミ芸を披露して非常にテンション高いなぁという印象。友人たちもそのまんまの意味でキャラ作りが過剰で、これが現実の学校だと真剣に読むんじゃなくて温かい気持ちで見守るほうが楽しめそうです。(でもちょっとはディテール頑張れよとは思う…)
おかげでシリアスな場面も真剣に読むんだか少し肩の力を抜いたほうが良いのかちぐはぐな感じだなぁと思っていた所に、まさかの委員長が体を張った衝撃展開を演出。
(; ゚Д゚) マジかぁ!?と素直な驚き半分、(; ゚Д゚) やぶれかぶれになった!?と急な展開に心配になる気持ちも半分…
謎解きとサプライズを盛り込んできて面白かったですが、個人的には友達というテーマでお話が進んだ割にはクラスメイトみんな仲良しこよしばかりで残念な気分も少々。世の中には絶対友達になりたくないヤツっているじゃないですか。女子生徒なんかだと友達グループから仲間はずれにされないようにドロドロとした人間関係になったりするじゃないですか。女の子ってどういうわけか大きくなっても「○○ちゃんと一緒に〜」って、一人でおトイレに行けないらしいじゃないですか。友達なんて面倒臭いじゃないですか。必要ないんじゃないかと思うじゃないですか。でもやっぱり友達って大事じゃないですか。こういう葛藤はこの作品には含まれてなかったんだYO!残念だYO!
余談ですが、[映]アムリタとの繋がりは読み終わったあと検索して気付きました。アムリタだけはもう5年前の記憶だから全然ダメだぁ…。へぇー苗字変わってないんだと妄想が膨らみます。大丈夫か…?こんな私が「2」を読んでも…。