【クレア・キップス】ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯 (文春文庫)


なんと言いますか、翻訳者の名前に“梨木香歩”とありまして、あれ?この人小説家じゃなかったっけ?と本屋さんで立ち止ってしまったら、そりゃもう中をちらっとのぞいてみたくなりましてね。まぁ、その場で確かめるの面倒だから買って家で読もうかとなるよねと。
本日のこちらの本。「ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯」というたぶんノンフィクションの伝記からお送りします。
その前に梨木香歩さんって翻訳もやってらしたのねというのが最初の感想でしょうか。私の記憶は間違っていなくて、「西の魔女が死んだ」(←昔読んだよ)など書いてらした人で正解でした。あらやだ、小説家が翻訳をするなんて、洋書の翻訳でよくあるクセのある文章が消えて綺麗に書かれているんじゃないかしら?と期待しちゃったり。はてさていかがかしら。
お話は第二次世界大戦時のイギリスで、一人の老婦人が瀕死のスズメの雛を拾ったところから始まります。この老婦人が作者のクレア・キップスさんでして、実際に拾って12年もの間一緒に過ごしたスズメのクラレンスとの生活を、当時の情勢を交えながら語られることになります。実際の写真も掲載されていまして、ちんまりとしたスズメのクラレンスの愛らしい姿も見れます。
瀕死だった雛鳥の状態を脱し、やがてやんちゃ盛りでご主人の後を付きまとったり、芸を覚えて戦時中の不安に駆られている人々の慰問に出かけたりとユニークな仕草で楽しませている様子が描かれます。メインはスズメの観察日記なんですよね。
翻訳文の方ですが、期待以上ということは別になくて、ふつーという感じですかね。ふつー。英文独特の文章を尊重したのか、変わった言い回しもよく出てきますし、注釈で説明している部分も結構あった感じです。洋書を訳すとそうなっちゃう気持ちは私でも理解できるところがあります。
分量はほどほどですので、ちょっとした時間を使って読めました。