HOOT (57日目くらい)

Hoot


イマイチすらすらと読めなかったけど、読み終わったものは読み終わったんだい。そんで読み終わるまで57日?ハハッ、まあまあ手こずったかな。(白目)
2003年のニューベリー名誉賞受賞作「HOOT」もこれにて終了です。
児童文学作品なのでそんなに難しくなかったはずですが、解読するのが面倒になってイイ感じで読み飛ばした箇所が所々あるのはご愛嬌。だいたい分かれば良いんですよ。良いに違いない。
お話は少年Roy(ロイ)くんが引っ越し先の新しい学校で様々な経験をしながら成長していく青春劇です。主に新しく街に建設されるパンケーキショップに関わる騒動をコメディタッチで盛り上げ、いつの間にか騒動の中心人物になっているロイくんとそれを取り巻く登場人物との交流が描かれます。大人しくて平凡な少年がそんな騒動を引き起こしたきっかけは、たまたま見かけた裸足で走る奇妙な少年と、建設地にいたアナホリフクロウとの出会いでした。という感じ。
父親の仕事の都合で各地を転々としながら暮らしているロイくんは、今度はフロリダの学校へ新しく通うことになりました。特にこれが初めての転校というわけではないロイくんですので、新しい環境とは言え周りの人間に対する反応も慣れたものです。さっそく通学バス内で不良のDana(ダナ)に頭を掴まれてバスの窓ガラスに押し付けられても、やれやれどこへ行っても不良のやることは変わらないんだなとお手の物です。まぁ実を言うとちょっと辛いんだけどね。でも窓ガラスへ顔を押し付けられた際に、偶然物凄く速く走る少年の姿が外に見えました。何より目を引いたのが、その少年は裸足だったという事。てっきり同じ学校の生徒かと思って学校で会えるかと探してみてもどこにも見当たらず、気さくに話しかけてきた同じクラスの生徒に聞いてみても手掛かりはなし。自分でも何がそんなに気になるのか分からないが、別の日にまた同じように裸足で走る少年を見かけた瞬間、バスでからんできたダナにパンチを一発お見舞いして思わず車両から飛び出してしまったのでした。
基本的にイジメられっ子っぽいロイくんですが、その行動力と度胸は彼がただの気弱な少年とは一線を画す人間であることを物語ります。たしかにいじめっ子のダナにいびられているときは貧弱な少年でしたけど、何かと用があるたびに直接ダナ家の門を叩いてダナ本人でも父親でも母親でも話し合いに行くんですよね彼は。例えば通学バス内でからまれた際にちょっと暴れたせいで学校から両成敗をくらったとき、出せと言われたダナへの謝罪の手紙を家まで直接本人に渡しに行きましたからね。行くか普通?凄いなぁおい。
そんな彼の行動力は他の生徒の注目も引き、学校でも一目置かれるBeatrice(ビートレイス)さんからともお知り合いになる事になります。ちなみにビートレイスさんは何で有名かと言いますと、(大きく屈強な体と狂暴な性格の)サッカー部のプレーヤーで、(同じく屈強な)女子部員を引き連れて一種のグループを率いているからです。そんな彼女とロイくんのファーストコミュニケーションは、いきなり引っ掴まれたかと思うとビートレイスさんに思いっきり凄まれるのでした。学校でも有名な不良のダナと、同じく有名なビートレイス"熊"女にいきなりからまれている転校生っていったい何者だ?と話題沸騰のロイくん。生徒たちの主な関心事は、ロイくんがいつ学校を飛び出してまた転校するかです。彼の明日はどっちだ。
ちなみにこのお話に他の女性キャラクターはあまり出てきませんので、実質ビートレイスさんがこの物語のヒロインとなります。日本じゃまず見られない、アメリカンナイズな屈強ヒロインが実に新鮮に感じられてスカッとしますね。変に媚びない!デレない!体が大きくいじめっ子のダナですが、彼と正面からぶつかって余裕で叩き伏せますからねこのビートレイスさんは。ロイくんと多く関わるようになってたまに優しさとか見せるんですけど、「夜遅くなった言い訳作ってやるから自転車かしな」って自転車持ち上げてタイヤに噛みついてパンクさせたりしますからね。え…噛みついて…?パンクするものなの…?とインパクトに負けそうになりますが、根は優しい女の子だという事が…だという事、す、少しくらい分かるよねという心温まるエピソードがあったりします。
ちなみに裸足の少年はこのビートレイスさんのお兄さんです。パンケーキショップ建設地にアナホリフクロウが巣作りしていることにいち早く気が付いて、一人で建設地の杭を抜いたり生きたワニを放出したりして建設を止めさせようと、妹に負けずインパクトのあるアウトロー活動をする野郎です。彼と友達になりたいと思ったロイくんも、平凡に見えてどこかおかしい気がしてきました。
気難しい変な友人たちにロイくん関わったことから持ち上がったアナホリフクロウ救出作戦。彼らの行動は街全体に知れ渡る騒動へと発展します。短気な現場監督や、かっこつけたいけどどこか抜けてる警察官。他にも賑やかな登場人物を多数投入し、道中の展開を盛り上げます。読み終わった後はどこか寂しいけれど爽やかな気持ちになれました。