【上橋菜穂子】闇の守り人

闇の守り人 (新潮文庫)



精霊の守り人シリーズの2冊目ってこれかしら…?とちょっとビクビクしながら読むこちらの本。ナンバリングしてあるわけじゃないからしっかりと確認しないと気が落ち着かないお年頃の私です。前回の直後っぽいお話の始まり方をしたので一安心。
本日はこちら「闇の守り人」よりお送りします。
架空の戦国時代みたいな雰囲気の世界が舞台のお話ですが、地の底とか人里離れた場所には精霊や怪物が割としっかりいるようでして、物語に平気で顔を出してきます。不思議な世界です。古くからの言い伝えを無視すると神様からばちが当たるぞ!となんて現実世界で言われても、いわゆる物の例えで、なにか怪我をする訳があっても実際に神様がばちを持って現れてひっぱたかれたりはしないでしょう。でも主人公のバルサさん(31)が暮らすこの世界では、例えなんかじゃなくて本当に怪物が出てきたりしますから驚きます。心がときめくような、でも胡散臭いような精霊という概念ですが、いったい何なのか今後どんな紹介がされるのか楽しみですね。
バルサさん(31)初登場の前回は道すがら人助けしたせいで国レベルの陰謀に巻き込まれましたが、既に一段落していますのでお話は平和な始まり方となっています。旅の情景を眺めているうち、そういえばバルサさん(31)は故郷に一度戻ろうかなって前回の最後に言ってたなそういえば、とか思い出したり、バルサさん(31)って大変だしっかり年を取ってるよバルサさん!この世界は容赦ないぞ!と余計な心配をしながらのんびり読んでいました。やがて、そうしているうちに聞こえてくるのは子供の悲鳴です。これはまさしく今回の事件発生の合図ですな。バルサさんの行くところトラブルあり。たまたま不幸な現場に足を踏み入れたのか、それとも踏み入んだから不幸をもたらしたのか、どうやらバルサさんは行く先々でトラブルを呼び込む、傍目にはどちらにしろ迷惑な才能を持ったタイプの主人公のようです。でもやることはひとつさ、トラブル解決にレッツゴーバルサさん。
今回は数十年前に故郷を脱出したバルサさんが、長い年月のせいでとっくに逃げる理由も無くなってしまった思い出の地へ里帰りするお話です。全てが昔の出来事になってしまったように思われましたが、まだ微妙にくすぶっていた思惑がバルサさんに牙を剥きます。今回のヒロインは現地民で15歳のカッサくん。素直で妹思い、まだ微妙に頼りない年齢ながらも内に秘めた心はしっかりと強い男の子です。なんてこった、チャグムくんの次はカッサくん!?まだ2冊しかこのシリーズは読んでいませんが、まさかバルサさんは行く先々で現地婿となるイイ男子を次々と魅惑のボディで作っていくようなことになるんでしょうか。いやぁ…でもバルサさんの魅惑のボディ(筋肉)マジパネェからなぁ…。バルサさんがちらりと太ももでも見せようものなら、美しい大腿四頭筋に如何なる男児も悩殺もんよ。
前回が一生に一度あるかないかの国が敵に回るという大事件(あ、でもバルサさん少なくとも2回目だ…)でしたので、今回は氏族の有力者に命を狙われるレベルで済みます。普通の人は命を狙われることも一生に一度あるかないかのレベルでは?という平和ボケした常識は通用しません。命の切った張ったはバルサさんにとっては日常の軽いランニングレベル、いやーこの人狂ってるわーとちょっと思う、巧みな槍捌きが今日も光ります。単純に槍の腕前だけで敵をなぎ倒す姿は、爽快で楽しいです。なんかバルサさんは昔いろいろあったらしいですけど、私の知っているバルサさんの旅はまだ始まったばかりですぜ。次なる冒険が楽しみですね。