ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり2 炎龍編 (上)(下)

ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈2〉炎龍編〈上〉 (アルファポリス文庫) ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈2〉炎龍編〈下〉 (アルファポリス文庫)


突如として銀座に開かれた異界の門からの襲撃に対抗するため、ファンタジーな向こう側の世界へ自衛隊が繰り出していくお話。その2。
相手は剣と魔法のファンタジー世界の住人ですので、マシンガンと戦闘機で自衛隊が戦場に乗り込んでいった日には、そりゃぁもう一方的な清々しいまでの無双状態でしたよというのが1巻での大体の内容(わぉ、ざっくり)。まだ見えない異世界戦争の決着に向けて皆さんあれこれ暗躍の途中でして、広がる世界にお話はいま始まったばかりだ!という感じで絶賛展開中。人型の戦士は余裕で蹴散らしましたので、さーて次はドラゴンに行きますかと自衛隊の新たなるステージが開始されます。ロマンですね。
登場キャラクター的にも、この2巻からようやく本格的に生き生きと動き始めたんじゃないかなと思われる今回のお話。異世界では日本語が通じないという、よく考えなくても当たり前だけどめんどくさくなるからスルーでも許す!な設定を律儀に守っているため、言語習得中のためにキャラの表現がどうしてもカタコトになりがちでした。少しだけ時間がたった2巻では日本語の習得はもちろん、自衛官の中にも現地語をなんとか理解できるメンバーを揃えられまして、コミュニケーションの壁はだいぶ取っ払われた感じがします。そんなわけで、よりネイティブなファンタジー住民とこれから関われるようになり、お話もさらに深いところへ行けるようになりました。
そんな感じでこの度のお話ですが、1巻の序盤で撃退した伝説の古代龍へ止めを刺しに行くのがメインクエストになっています。…あの難民キャンプへの移動中に襲撃されて、歩兵に左肩吹っ飛ばされて逃げ帰ったやつ?こ、これはまともにやったら勝ち目は無いな(古代龍に)。開始時点で勝利は既に見えていますので、あとはどれだけの戦力でどれだけ損害を抑えるかを考える話となっていました。うん、今のところ自衛隊の戦力は圧倒的過ぎてだいたいいつもそんな感じだ。
という訳で戦力的には問題ないのですが、やはり面倒なのはその理由付けですかね。自衛隊の動き難さは想像できる分、あれやこれやでなかなか出撃できない状況がなかなか面白くなっていました。別に自分たちが被害にあってるわけでもない遠く離れた場所でのドラゴン襲撃に、善意でフル装備出撃しようものなら、意図しない他国への宣戦布告と更なる戦闘がもれなく付いてきます。かといって周りを刺激しない程度に穏便に済まそうとすればするほど、装備は貧弱になっていくという二律背反。さぁてどうすんべか! この辺を登場人物たちがあれこれ苦悩する姿もお話の見所ですね。
現地語に対する壁も薄れてきたため、ファンタジーなキャラクターも少し難しいお話へ関係することになり始めています。政治的駆け引き、今後の戦争の予感、他国との気の抜けない対応…、これらは今後のお話のメインとなっていくのでしょう。そして過剰に搭載されたファンタジー属性たちがとうとう牙を剥いてきます。金髪エルフ娘とか、猫耳の獣人とか、銀髪魔法少女とか、割と直球(剛速球)な表現を使って描写してくるのですが、そのキャラクターたちが饒舌に喋り始める(語尾にニャ♪とか付けちゃって)と、心ざわざわ周りがやがやで賑やかなことこの上ありません。中でも見た目は少女、服装は黒のフリフリなゴスロリ神官で巨大な斧を振り回し、それに反して歳は900歳超、しゃべり方は「お馬鹿さぁん」とでも言っちゃいそうなサドの気もあるやり過ぎなくらいやり過ぎなロゥリィさんという方がいるのですが、その方がとうとう私のハートを撃破したようです。あぁもう負けや負けや、媚び媚びでアンタたちの思い通りにはなると思ったら大間違いよ!と意地を張っていたこともありましたが、自分に素直に生きることにしました。名前もクリハラ・ロゥに変えて愛に生きる信徒になろうかと思います。ひとまずロゥリィさんには頑張って神様になってもらいたいところですね。(まだ神様一歩手前みたいな感じらしい)
さぁて、お次は戦争の終結だと行きたいところですが、今まで力押しで一気に行けなかったぶん長引きそうな気配もしてくるこれからの予感。お話はまだまだこれからと言ったところです。