【フィリップ・K・ディック】アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (2日目)

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))



アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」も読み終わりー。
この何かと有名なタイトルの意味を、ようやく私も(ちょっとだけ)分かることが出来ました。電気羊って何さって感じですが、これはそのまま機械仕掛けのロボット羊の事だったんですね。時は19XX年、世界は核の炎に包まれた!みたいな世紀末がやってきたおかげで、この世界では動物が次々と絶滅してあれもこれも厳重な保護対象になっています。そんで動物たちが高値で取引されるようになると、資産運用の一つとして動物を飼う事が一般的になった…てな感じで財産として世間に浸透しているようなのです。むしろ博愛精神の象徴として、積極的に飼う事を推奨されているレベルと来たもんだ。おかげで動物も買えない貧乏人は、世間から冷たい奴だと後ろ指を指されかねないので気が気じゃありません。そこを解決する手段として、本物より安価で本物そっくりなロボット動物をこっそり買ったりするケースもあるようです。主人公のリックさんが持っているのが、ちょうどその電気羊というわけ。昔は本物を飼ってたんだけど死んじゃったんだってさ。仕方ないよね。
さて、6人もの脱走アンドロイドを仕留めることになったリックさんですが、ハードボイルド風味のアクション満載でお話は展開していきます。人間に紛れたアンドロイドたちを炙り出すサスペンス。人かアンドロイドかを探り合うミステリー。ついでに謎のトリップ体験。アンドロイドを見つけ出してバッキュンバキュン撃ち倒すような割とシンプルな展開ながら、精神世界をさ迷ったり禅問答のような自問自答を繰り返したりして混沌めいた様相を呈してきたりします。リックさん、上司命令で6人を1日で追いかける羽目になってしまって、かなりひーこらすることになってるんだよね。おかげで肉体疲労とストレスで、リックさんの思考回路はかなりぐでんぐでんなもんよ。リックさん、あなた疲れてるのよ…。混沌めく原因になった一つでもある。
人間そっくりになっていくアンドロイドを如何に人間と区別していくか、人間とアンドロイドの区別とはいったいなんなのかを問いかける、そんなお話に多くの項を割いていた感じがします。現実世界でも直面するにはもう少し先の、人類がまだ未体験の話ですね。
でもまぁ流石にこの小説が発表されてから40年強も経てば、アンドロイドみたいな人口物に対するリアクションもだいぶ変わるでしょうし、お話みたいにアンドロイド=奴隷みたいな考えは現在じゃ今さらみたいな扱いですね。リックさん、アンドロイドに感情移入することを人生の一大事みたいに考えていましたが、二次元美少女を「俺の嫁」宣言することがある意味よく見られる光景な現代に来ればたぶん吹っ切れるんじゃなかろうか。ちなみに「俺の嫁」宣言は英語だと「Mai Waifu」という感じで訳されて、海外でもある程度浸透してるっぽいしイケるんじゃないかな!(※My Wifeじゃなくて日本語ローマ字で書くのがポイント)
…いや、やっぱり卒倒するかもしれん。
ほんと、未来はどうなるか予想がつきませんね。でもまぁ面白い方向に行ってるし別にいいんじゃなかな!