【ジーン・アウル】ケーブ・ベアの一族 上(1日目)

ケーブ・ベアの一族 (上) エイラ 地上の旅人(1)


好きな本ぼしゅう 10月のコメントより
>それで、おすすめ本ですが、シーン・アウル のエイラシリーズはいかがでしょうか。
異色の、石器時代の少女が主人公です。巻数も結構あるので、読み応えもバッチリでしたよ!



おすすめ貰いました。イヤッホィ!
というわけで本日はこちら、エイラ−地上の旅人シリーズより一作目「ケーブ・ベアの一族」よりお送りします。シリーズものだから読む順番を間違わないよういろいろ調べたところ、出版社の異なる旧版と新版が出ている模様でして訳し方にも多少の違いがあるよう。まあ入手のし易さや翻訳の気合の入れ方から選択肢はほぼ無いようなものでしたけど、今回私が選んだのは集英社の新しい方となりました。
ちなみに単行本でお値段2300円、それが上下巻に分かれているから合わせて税込4830円ほどとなりました。ヘッヘッヘ…、この容赦のないセレクションがたまんねぇぜ!海外の翻訳物でハードカバー、しかもこの値段の物に自力で辿り着くのは滅多にないでしょうから、面白い縁もあったものだなぁと読む前に浸ったり。
さてこちらの本ですが、おすすめのコメントの通りに3万5千年前の石器時代が舞台のお話となっております。今までSFやらファンタジーやらで遥か未来や遠い過去の時代に行くお話に出会ったことはありますが、石器時代に住んでいる人物が主役でここまで本格的なものはそうそうありません。まさに未知のエリアに突入といった感じで、どんなお話になるのか予想が立てられず先に何が待ち受けるのか楽しみになってきます。うん、こんな事を書いているくらいだからなんとなく分かると思うけど、ただ今絶賛読み途中ですの。
そんな感じでお話の方を読み始めたところ、物語の始まりはまだ5歳という幼い少女がいきなり地震で一族全員を失うという若干ハードすぎるんじゃなかろうかと思う出来事から始まりました。ここは3万5千年前の原始の世界、弱いものは容赦なく他の動物に食べられる野生のルールに人間が参加していた頃のお話です。飢えと渇きに耐えるだけではなく動物を狩る力強さも持っていなきゃならないのに、保護者がいなければ勝手に死んでしまうようなまだ幼い少女の命はあっという間に風前の灯に。あらあら開始20ページでもうエンディングを迎えそうじゃないですかと、残りのページ数を気にしながらのハラハラとした序盤となっておりました。
このまま登場人物が変わり第二部突入かと思われましたが、そこは多少の幸運が起こらないとお話として面白くありませんよね。同じように地震で住処を失ったネアンデルタール人の旅の一族に拾われ、辛くも命を救われることになりました。どうやらこの少女がこのお話の主人公で大丈夫なようです。ただし旅人一向曰く、少女は非常に醜い外見との事。逆に少女側からすると旅人一行は誰も醜く見えるとの事。面白い価値観の不一致ですが、その理由はネアンデルタール人に拾われた少女はクロマニヨン人だからということらしいです。
正直ネアンデルタール人クロマニヨン人もどう違うのか説明できるほど区別がついてなかったのですが、お話を読めば人間と動物ほど離れているわけじゃないけど外国人と外国人の関係よりは遠いという微妙な違いがよく伝わってきました。8歳ほどで女の子は成人し(流石に範囲外)、30歳ほどで老人と呼ばれる(俺ももう引退か)など生物としての違いがあるのも面白いです。そもそも当時の生活を描写するのに登場人物たちが現代の言葉を使わなければならないというお話としての宿命がありますが、それでも喋り方や使う言葉の種類に気を使っているようで、未だ詳しいことが分かっていない石器時代の雰囲気を壊さぬよう紡いでいく物語にドキドキしたものを感じてこっちも面白いですね。この世界観のこだわり具合にもこれから注目です。
少女の名前はエイラ。現在ネアンデルタール人の一族に正式に迎え入れられました。