獣の樹 (2日目)

獣の樹 (講談社文庫)



うむ、相変わらずようわからん!
馬から生まれた"僕"の恋と命の物語、そして世界大戦へ〜 (俺は嘘は言っていない)
お話に大事なのは作品に込められた魂なのだなぁと不思議な納得の仕方をする熱い作品でした。
このお話には常識ではありえないことや、設定崩壊とも捉えられかねない荒唐無稽な出来事が次々と起こります。巨大アナコンダ、殺人事件、ミサイル、いろいろござれです。どれも作中でそれなりの状況説明がされますが、納得するには全然情報が足りません。なんだストーリーが空中分解してるのかと思わされますが、それでもお話の魅力には少しの曇りも見えず変わらぬ吸引力を保っています。
やっぱり物語って設定を読んでるわけじゃないからね、作者さんの描きたい何かを読み取ろうとしてるんだよね。読む気も起きない細かい設定をずらずらと書き連ねる小説のつまらなさは異常ですが、わけのわからない設定で適当に流したこのお話は読んでいて面白いのはなんでだろう。不思議なものですが、事実だから仕方ない。
あーだこーだ中途半端にこのお話に理屈を付けて語ると絶対わけのわからない事になるから止めときましょう。次第に飛行機より速く走り始める成雄くんはカッコ良かったですし、いつだって弟想いの正彦くんはいい奴でした。いろんな動物たちが集まってきた場面ではワクワクしましたし、とんでもないミステリーの謎解きには笑わさせてもらいました。このお話に常識は無いかもしれませんけど、その代わりに常識から解放された不思議な気持ちでお話の中を漂うことが出来ます。理屈じゃなくてハートで感じましょう。
まあ結末も結末でぶっ飛ばしたまま終わるので、ハートで感想を言うならなんじゃこりゃぁー!!ですが仕方ないね。でも嫌いじゃないのよ。
わけがわからなくても、読んでる途中楽しかった気持ちは変わらないのでこれが僕の素直な気持ちなんでしょう。うん、楽しかった。