天地明察 下 (2日目)

天地明察(下) (角川文庫)



面白い本を気の向くまま好きな時間だけ読めるって素晴らしい。上下それぞれに1日ずつ時間をかけて読み終わりです。
作者の冲方丁さんが書かれた作品は多数ありますが、題材も作風も本当に今までにないユニークな一冊になっているんじゃないでしょうか。江戸時代に実在した渋川晴海なる人物が新たな日本の暦を造り上げるまでの生涯を綴った、史実をもとにしたノンフィクション風味の時代小説フィクションです。今までSFやらファンタジーやらの空想の世界を書いていた分ガラッと変わったなーとの印象を受けますが、どっちも想像の世界だから根っこは変わらなくてたいして違いはないのかもね。ただ、"えん"という女性キャラクターがいるのですが、実にファンタジーなあざとい描かれ方をしていて、この辺のテイストはライトノベルだろうと時代小説だろうと不変なんだなと納得するものがありました。あざとくたっていいじゃないか。ありがとうございます。
形は変わろうと戦いは戦い、筋力や兵器のバトルではなくて、鉛筆とそろばんでのパワーバトルとも言える様々な勝負は熱くなること必死の面白さです。強敵あり友あり挫折あり、そして勝利あり。熱中できる要素は十二分です。
「暦を変えることがそんなに大変なことなの?」とか、「どうして日本中を巻き込む自体になるっていうの?」という素人の疑問は、この本を読み終わる頃にはきっと「ばっかおめー!どう考えてもめっちゃ大変な事に決まってるじゃないか!すげーな!良く出来たな!」という感想に変わっていることでしょう。とても分かりやすく物語に引き込んでくれるので、安心して読みましょう。
きっとこの作者さんのことだから面白いだろうと思いましたが、やっぱり面白かったこの幸せ。願わくば放置している他のシリーズにも手を付けてほしい気持ちがありますが、誠に贅沢な願いというものです。きっと続編だろうと新作だろうと楽しませてくれるに違いないもんね。