魔王っぽいの!(1日目)

魔王っぽいの! (ガガガ文庫)


最近アルバイトをしている魔王とか家賃が払えない魔王とか、お前ほんとに偉いんかと疑問に思う魔王さん達をいろいろ見かけましたが、とうとう魔王じゃなくなっちまったぞオイ。
魔王っぽいの! …ひ、ひどいくらい投げやりなタイトルですけど、なんか響きは好きだったりします。
昔からお話の登場人物として魔王は愛されていますけど、今の流行は「低姿勢」で「親しみやすい」という、思わずさん付けで呼びたくなるようなキャラクター造形に向かっているのは明らかであります。そんな中でこれはまさに現在の魔王ブームの末期を象徴するかのような雰囲気を纏った作品で、もはや魔王とは呼べないナニモノかと成り果てたものが蔓延るこの世の中に反旗を翻すべく、古来の姿である「邪悪」で「強大」で人間を恐怖のどん底に陥れる魔王を復権させようと後に有志たちが立ち上がるきっかけとなる一冊になるとは、まだ誰も知る由がありませんでした。…という事になったりするんじゃなかろうか。知らないけど。
さて、そんな歴史的一冊となる(予定の)本作ですが、私の期待に応えて恐怖の欠片もクソもうんこもないぷにぷにの魔王様が降臨されて上々の滑り出しとなりました。そして対する語り手である主人公君は、全ての行動と考える基準がエロゲーっぽいか否かという、これは本当に人が作り出したキャラクターなのかと恐怖を感じざるを得ない人智を超えた存在として目の前に現れました。
普通はこの主人公はそうとうヤバい奴だなとお話の登場人物に対して感想を抱くのですが、次元の壁を易々と貫いてこの作者はかなりイってるなとダイレクトに直感させる強烈なオーラを放っています。まずい、面白いぞこれは、作者さんが!
あと、なんだかんだ言っていまのところ結構楽しんでるぞ俺。