あやかしマニアックス!

あやかしマニアックス! (GA文庫)


※本書の正しい楽しみ方
あぁーんもう!ぽわぽわーっとした女の子も良いけど素直になれない幼馴染なんてのもまたイイ!ありきたりだけどツボを外さないキャラ設定で期待にはしっかり応えてくれるじゃないのこれは。そんなのばっかで俺のハートはすっかり飽き飽きしてるぜ、なんていう猛者には「メリーさん」という第3の刺客を配置してきているのでこのトライアングルの布陣に捉えられないターゲットはいないでしょう。はみ出る野郎は男じゃねぇ!
ぽわぽわーっとしてて無口なんだけど、行動は結構積極的で誘惑しにかかってくる転校生の亜璃沙。考えている事は主人公ラブばっかりのえげつないギャップがなんとも笑いを誘うと共に羨ましいなコノヤロウ必死のキュートさ!そんな転校生が気にいらない幼馴染が嫉妬しながら、でも素直に気持ちを伝えられなくて不器用に暴力に訴えちゃうお約束の展開に繋がって美味しさも2倍です。幼馴染という主人公に非常に近いポジションにいるというアドバンテージがある分、どうしても当て馬気味にならざるを得ない不遇のヒカリ。若干仕方ないかなとは思うけどそれでも完全に目がないわけではなくて、健気に頑張る姿はやっぱり応援したくなっちゃいますね!貧乳がなんだってんだ!おっといけないメリーさんも忘れちゃいけませんね!メリーさんという妖怪の都市伝説、「わたしメリーさん。今、あなたの後ろにいるの」なんて言ってだんだん近づいてくるお話を知ってる方も多いと思いますが、そのメリーさんなんですね彼女は。ただこのメリーさんはただ近づいてくるのではなくて、背後に立った後スカートをまくって振り向かせようとする策士でして、恐怖以外で攻めてくる新しいタイプの妖怪なんですね。そして何故か主人公くんとは3年ほど同居生活をして結構仲良くなっているという。「わたしメリーさん。オムライスが食べたいの」「昨日食べたばかりでしょ。まあいいけど」 普通に会話してるー!? ちなみに会話中に振り返ると本当にぶっ殺されるらしいので常に背中越しの会話なんだとか。でもメリーさんも主人公くんを殺したくはないので手加減してからかっているそうです。これはめんどくさい新手の病んでるタイプのヒロインですね。作者公認の真ヒロインでもありますがやっぱそりゃそうでしょう!
そうそう本書は妖怪なんてものがいっぱい出てきますが、基本は変態ばかりなので全然おどろおどろしい雰囲気なんてものはありません。絶え間のないボケとすぐさまのツッコミ(み?)のギャグばっかりの道中なので賑やかな事この上ないお話であります。そして強さの秘密はピュアな心!目覚めろ俺の童貞力!悪しき誘惑になんか負けるな!でも負けてもそれはそれで美味しい悩ましい!




※本書のあまりよろしくない読み方
始めから分かっていて馬鹿をやっているものに向かって馬鹿だというのは的外れな事であります。クソじゃねーかこれ!と嘆き哀しむ事は簡単ですが、ならばいっそ同じように馬鹿になって楽しみ、面白かった所を思い出すために力を注ぎ前に進みましょう。冷静になった時点で負けなのであります。それでも思わず言いたくなってしまうのは、このお話のラストのパパはいくらなんでも最低じゃないかということです。もう負けで良いよ俺…。