テレビドラマ 「テンペスト」 7話まで


池上永一氏原作、テレビドラマ版テンペストの第7回目。孫寧温(そんねいおん)は真鶴(まづる)となって再び琉球王宮の御内原(ウーチバラ)へ、舞台もとうとうラストステージへと移りました。
流刑地八重山から脱出する為に目の前にぶら下がっていたチャンスに飛び付いたまではよかったのですが、辿り着いた場所は国王のお妾さん選抜試験会場でありました。機会を与えてくれた八重山の役人さんが真鶴の才色兼備ぶりに驚いて、是非とも国王さまに献上して自分の仕事ぶりをアピールしたかったわけですね。田舎の娘が国王さまのお側に近付ける機会を得られたわけですから世間的には悪い話ではないのでしょうけど、正直ありがたいやら迷惑やらの難しい話になっちゃいました。
第7回の始まりはその選抜試験からでしたが、そこで現れた次なる重要人物は、同じ側室候補たちの中の一人、真美那(まみな)です。地方からやってきたばかりで着飾る暇もなかった真鶴は、案の定女たちの攻撃のターゲットになってしまうのですが、そこで庇うように颯爽と真美那が現れました。本気で庇ったのか実は裏があるのか、目くるめく展開に怪しさ満点の登場ではありましたが、結論から言いますと真美那は真鶴の味方なので安心しましょう。何故に側室を2人にして真鶴を王宮に引き入れるような真似をしたのか、何故高貴な生まれなのに真鶴に対して腰を低く接するのか、実はあれ、真美那が本当にいい人だからそうしただけだったりします。卑しいのは己の心の方だったんだよ母さん…。
さて、お話の方も終盤に差し掛かりまして、いままでの話で原作からカットしたり改編した部分もそろそろ纏め始める頃合いでしょう。あれやこれや変えていったいどのような締め方に持って行くのか、製作スタッフさんの頑張りが楽しみな所ですが、ここらで今重要な人物を少し確認してみましょうかね。

●真美那(まみな)
最も遅い登場の主要人物の一人。聡明でありながら、才能の差を見せ付けられがちな真鶴にも素直な感心を示す事が出来るよく出来たお嬢様です。でもわがまま。害意がない分、真鶴でも対処しきれない意志の強さを発揮する事も。必殺技は女の涙。「真美那、泣いちゃう…」の技をドラマでも使用する事を確認しました。今後も猛威を奮うかもしれません。

●浅倉雅博(あさくらまさひろ)
最初から登場の薩摩藩のお侍さん。孫寧温(真鶴)との恋の行方が気になる所ですが、原作との一番の違いは孫寧温の正体を知っているということですね。ドラマ版固有の雰囲気もあって、今一番予想がつかないキャラクターです。

尚泰王(しょうたいおう)
現在の国王。お父さんも影が薄かったですが、息子はそれに輪をかけて存在感が希薄です。真美那のお願いがあったとはいえ「問題無かろう」でお妾さんを2人取ろうとする姿はスケベにしか見えなかったです。このまま国王という名前だけの存在になりそうでしたが、次回予告で孫寧温のネタばれを食らうタイミングが原作と異なる様子が映っていました。これはどう影響するのでしょうかね。

●思戸(ウミトゥ)
少女の頃からちょくちょくと御内原のダークサイドで活躍していました。真鶴となって王宮に戻ってきたときにはだいぶ出世もしていまして、さっそく見慣れぬ余所者に泥団子を食わせる嫌がらせで力関係を見せ付けていました。今のところただの嫌な奴にしか見えませんが、実は孫寧温には見習いの頃に優しくしてもらったおかげで恩義を感じている設定があります。なので見知らぬ真鶴にはいじめの限りを尽くし、八重山に流刑にされてしまった孫親方には無事を祈るという切ないすれ違いの最中にいるはずの彼女ですが、ドラマ版を見る限りでは孫寧温と思戸って親しくなる場面がないんですよね。このままでは嫌なやつで終わりそうです。

●真牛(モウシ)
元の聞得大君加那志(きこえおおきみがなし)で、現在は遊郭で占い事をやっています。彼女の負のスパイラル人生は、ドラマ版の編集のおかげでだいぶ緩いものとなっていました。遊郭に売られながらも誇りは失わず、相変わらず傲慢に生きているようで実に頼もしいです。でもそんな彼女でも、しつこいくらい慕ってくれた男性に、別れ際に思わず本音が飛び出してしまった姿を見て不覚にもウルッと来てしまいました。ちなみに最後に鏡を見ながら「なんじゃこりゃー!」と言っていたのは、碧眼だった彼女の瞳が茶色くなってしまった事に驚いていたからです。神、つまり国王にのみ捧げられる彼女の愛情が偽られたせいで、備わっていた力が曇ってしまったんですね…。彼女に最大の試練が訪れます。

物語の本筋の方は日本を開国する為にやってきたペリーさんが、その前にちょっと寄り道して琉球にやってきました。本当にちょっと寄り道しただけならいいんですが、まあ観光だけで済むはずもないでしょう…。その時王宮の選択は?ここで颯爽と現れるのがヒーローですよ。