テレビドラマ 「テンペスト」 6話まで


池上永一氏原作、テレビドラマ版テンペストもいよいよ後半戦。6回目は孫寧温(そんねいおん)の地位も物語最底辺へ、八重山への流刑からドラマはスタートしました。(全10回)
前回で強敵、徐丁垓(じょていがい)を何とか退けた孫寧温でしたが、やっぱり殺しちゃったのがまずくて「国相殺しの罪人」として裁かれちゃいました。次に立ちはだかったのは同僚で親友であったはずの喜舎場朝薫(きしゃばちょうくん)。 国の役人として、一人の友として(建前)、ちょっぴり個人的に振られた恨み(本音)も混ぜて、孫寧温へ八重山への流刑を申し立てます。おお孫親方に刃向うなんてなんて愚かな事を。
喜舎場朝薫は物語でも重要な役割を与えられた、才能溢れる若き評定所筆者(ひょうじょうしょひっしゃ)です。神童の名をほしいままにし、史上最年少で難関試験を突破するという快挙を成し遂げられたはずなのですが、同年に孫寧温という史上空前の怪物がいたために彼の偉業は見事に曇ってしまいました。その時、喜舎場朝薫15歳、孫寧温13歳。どちらも十分凄い事には変わりませんけどね。あ、そういえばドラマでは試験合格時の孫寧温の年齢が18歳に変わっていました。まあ、いくら美人とはいえ仲間由紀恵さんを13歳で投入するのは無謀だとの判断でしょうか…。
とまあ、めっちゃ凄い人物なのに同じ土俵に孫寧温がいるせいで永遠の2番手になってしまうという、喜舎場朝薫とは哀しき宿命を背負ったキャラクターなのであります。
今回反旗を翻して孫寧温に一撃を加えとうとう俺の時代宣言をするかと思われましたが、やるなら息の根を止めなかったのが運の尽き。最後には必ず勝つというヒーロー属性を持つ孫寧温は敵対したが最後、どんなに叩き落とそうとも必ずや目の前に戻って来てしまうのです。孫寧温と喜舎場朝薫、それと浅倉雅博の間で揺れ動いていた恋事情もあったのですが、これで完全に喜舎場朝薫は脱落ですね。孫寧温は生きるのに他の人間を必要としないマッチョな女性ですので、彼女のハートを振り向かせるにはただひたすら盲目に、彼女を信頼し続ける信仰心が必要なのです。一度でも疑ってしまった喜舎場朝薫、お前はもうダメだ。その代わり浅倉雅博殿はかなりいい線を行っていまして、彼ならもしかしたら運命すら変えるかも…なんて期待をしています。ガンバ!
さて、八重山流刑で人生どん底、普通の人なら詰み状態に陥った孫寧温ですが、当然ながら彼女は普通の人ではありません。ドラマでは今までのところ圧倒的な頭脳の切れ味が目立っていましたが、実は身体の方も超人級。男女構わず魅了する美貌の持ち主ながら、トンファーを振り回して襲い来る役人どもと張り合った事もありました。負けましたけど数人の男性に囲まれての奮闘でしたし、本物の侍すら手こずる徐丁垓にもトンファーで殴りかかって最終的に勝ちましたからね…。八重山ではマラリアに罹っていましたが治療もほどほどに気合で治していました。見た目は可憐でも中身はアマゾネス、体力も並外れてます。さらに布を織らせれば品質は最高級品に、踊らせてみれば観客の涙を誘う見事な舞を披露しと、孫寧温の超人ぶりが遺憾なく発揮された回でした。あれ、笑うところですからね。
八重山から難なく(まあ3年経ちましたけど…)脱出した孫寧温は真鶴と身分を変えて再び王宮へと戻る機会を得ます。次回はまた王宮編へ。いやぁ、ピンチからチャンスへ、本当に逞しい主人公です。