僕の妹は漢字が読める (2日目)

僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)


この作品の日本人はイッちゃってるよ。あいつらマジで未来に生きてんな。

そりゃあ私もね、多少なりともオタクカルチャーには詳しいと思っていましたよ。次々と生まれる新しいオタク文化を追っかけるのが楽しくて、いつだって時代の先端から面白そうな事を探していると思っていましたよ。そんな私が辿り着こうと思ってもあと10年はかかるだろうと痛感させられるハイレベルなトークが繰り広げられる、誰もが想像したくなかった未来の日本の姿を目撃しました。
本当に現人類の精神レベルでは到達不可能な世界を作者は作り上げてしまいまして、萌えと狂気が渦巻く未来都市の描写は私の腹筋に容赦のない攻撃を仕掛けてきました。作中で23世紀の正統派文学の作品が少し紹介されるのですが、これは本気で200年先はイッてるなと思わせられる文章を書いて見せた作者さんに、いったい誰が本物を書けと言ったと思わず叫びそうになってしまいました。
これはもう前半3分の1くらいまでは傑作だと言われても私は同意します。というかそのまま最後まで行けや!なんでそんなステキな23世紀を捨ててしまうような超展開に持って行ってしまうんじゃ作者さんは!どうしてタイムスリップなんか…どうして!俺はそんなの望んじゃいないよー!
ええもう話のネタは最高に面白かったです。ただそれをぶち壊すストーリー展開がありえないです。まさか腹を決めて現代編も楽しくなってきた頃にまた別のストーリー展開に持って行くなんて…、もうボク完全についていく気がなくなっちゃったよ…。


ただこの作品が残した数々の言葉、はっきりと「脱衣シーンは無意味だ」と認めた上で「だがそれが正統派文学というものだ」と言い切った主人公くんの言葉は、とてつもない未来を私に感じさせてくれましたね。とても楽しい作品であったと私は思います。
あ、でもこの未来の日本は全力で勘弁してほしいです。