変態王子と笑わない猫。

変態王子と笑わない猫。 (MF文庫J)


エロ妄想で真っ盛りの高校生が、思った事を垂れ流しになってしまう症状に見舞われると言う。なんということだ、下手すりゃ欝展開まっしぐらもありえるサトラレ設定じゃないですか。こいつはスリリングだぜ!
どうもこんばんは。ようやく辿り着いた休日で、あまり天気もよろしくないなら一日ゆっくりしてやるさと癒しを求めて読むには若干不安が残る印象の本ですが、そこはライトノベルだから大丈夫。安心と信頼の頭のわるいコメディでとても楽しい時間が過ごせましたよ。
変な猫の像の前で自らのコンプレックスが治るよう祈ったら、そこには本音しか言えなくなった男の子と本心を表す事が出来なくなった女の子がいましたとさ、というお話。
お話のキーワードは本音と建前ですね。呪いみたいなお祈りの効果のせいで、喋る内容が本音だけとか建前だけとか、とにかく極端なこのシチュエーションのせいでキャラ同士の会話に妙な勘ぐりをしてしまうのが楽しいですね。普通の人なら社交辞令と受け取られる言葉でも、そいつは本音しか喋らない男だったりして油断はできません。逆に何事にも無表情になってしまった女の子の本心を探るのはなかなか難しい。ある意味行間を読ませる設定ですね。もう強引なんだから。
基本はギャグみたいなやり取りばかりですが、主軸の二人がなってしまった状態は結構シリアスな問題として扱われているのが良いエッセンス。楽しいやり取りがより引き立ちます。それと予想のつかないストーリ展開。これね! 予想と言うか期待に応えてくれたり期待を裏切られたりをちょこちょこされて先が読めないというんですか。例えば鋼鉄先輩は、あれは残念な期待の裏切り方ですね。キャラ崩壊が泣けます。面白いけど。でも試着室での全裸シチュは予想を裏切り期待に応えてパーフェクトさ。
しかし主人公の男、陸上部の次期部長に推薦されるほどアクティブなはずなのに交友関係全然描写されないのな。なんかぼっちの雰囲気すら漂っていました。この辺は残念な期待の裏切りの方でした。まあこれも予想が付かないという印象の原因の一つですがね。
なので期待に応えてくれるかは分かりませんけど、続きがあるならちょっと見てみたいなと思っています。変態王子のキャラクターは好きですしね。