マルドゥック・スクランブル 燃焼〈完全版〉 / 排気〈完全版〉

マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA) マルドゥック・スクランブル The 3rd Exhaust 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)

残りの2冊もゆっくり読み終る。やっぱり面白いお話は何度読んでも面白いですね。
旧版「マルドゥック・スクランブル」に大幅な加筆修正を加えた〈完全版〉との触れ込みの新装版ですが、未公開シーン追加のディレクターズカット的なものではなくて、ページ数なんかも増えるどころか逆に減ってる傾向すらあります。
どうしてそういう事が起こったのかと言うと、どうやら作者さんが旧版を眺めながら一から新しく文章を打ち込んでいったためのようであり、2種類存在する文庫版と単行本版それぞれ同様に作業を行ったため「反吐ガ出ルホド頑張ッタヨ」とあとがきで苦労を語っておられました。でも旧版も新装版もどちらも面白さでは引けを取らない出来になっているため、なら頑張って直す必要もそんなになかった気も?と作者が聞いたら泣きそうな感想も正直ちょっと湧きます。ごめんよーでも旧版でも十分面白かったからさー!
まあその後「マルドゥック・ヴェロシティ」という本作より前の出来事を描いた続編が出版されているので、そちらとの整合性を図るために手を加えたくなったのなら気持ちも分かりますしね。さらに今後出版が予定されている完結編も視野に入れて物語を整えられているのかもしれません。
そして旧版と新装版を比べたときの印象を少し。
旧版を読んだ事がある人へ → 文章は変わってるけどお話から受ける新鮮さはあんまりないです。
初めての人へ  →  印象に違いがないから新装版でOKさ。そのうち旧版は絶版になって手に入らなくなるっぽいし。
マルドゥック・スクランブルの最大の見せ場、カジノシーンの興奮は新装版でもバッチリOKなので結局はどっちでもいいさー!!
さて次は完結編に備えてマルドゥック・ヴェロシティを読み直す作業を近々しなくては。