マルドゥック・スクランブル 圧縮〈完全版〉

マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)



冲方丁さんの最高傑作 完全改稿との触れ込みで出版されたこちらの本。旧版「マルドゥック・スクランブル」は2003年に日本SF大賞という賞を受賞しまして、他には今年の11月にアニメ映画も公開が予定されていたりするタイトルです。
「最高傑作」との言葉が使われていますが、冲方丁さんの作品をいくつか読んだことのある私としては全く異論はございませぬというところ。もちろん大好きさ。普段このブログでは池上永一さんが一番好きと叫んでおりますが、池上さんの作品とこの作品どちらが面白いかはっきりさせろと迫られたら崖から身投げしかねないほど悩みます。ある意味幸せな死に方ですね。
さてそんな作品が完全改稿となって再び出版されたら、やっぱり好きな作品ですもの気になりはします。ただ、私は旧版の出来に非常に満足しているので、個人的には別に新しいからと言って特別興味が増すわけじゃなかったりもします。それに今までも旧版を何度か読み返したしなぁ…と少し考えたところで、そういえばこれから先も読み返す気満々だったっけと思い出し、ならそれが〈完全版〉だったとしても別にいいじゃないとの結論に達し現在に至りました。うむ、面白いお話は何度読んでも面白いのだよ。
と言うわけで今回は旧版の既読者として、どの辺が変わっているのかを意識して読んでみようかなと思っています。これが面白いかどうかの結論は既に出てますしね。面白いのだよ。
どういう販売戦略か知りませんが、この新装版「マルドゥック・スクランブル」には文庫版と単行本版の2種類が存在します。作者のHPによりますと、単行本版はSFやアニメとは馴染みが薄い一般の方向けで1冊に纏まったスムーズな作り、文庫版は旧版を知っている方も楽しめるよう追加ありの作り、という感じを意識して作り分けているようです。内容は一緒ですけど語る言葉遣いが違うのでしょう。
ちなみに文庫版のお話の並び順は、圧縮 → 燃焼 → 排気 の順です。新装版だと数字が使われてて少し分かりやすくなっていますが、ただのサブタイトルのようにも見えて読む順番に微妙に自信が持てなかった旧版、そんな私の昔の思い出。