【長嶋有】エロマンガ島の三人

エロマンガ島の三人 (文春文庫)

タイトルがちょっと買い辛かった。
まあ「もて?もて!」とか「未確認飛行おっぱい」とかいうタイトルの本を普段から買ってしまっている身としましては、今さら何を恥じようが手遅れであるとは思います。確かにネタのつもりで買ったならいいさ!でもさ、これは別にタイトルに釣られてたわけじゃないんだ!信じてくれ!

作者である長嶋有氏の本に、「猛スピードで母は」というものがあります。表題作の「猛スピードで母は」は2001年に芥川賞受賞、同時収録の「サイドカーに犬」は2007年に映画化されたりと結構世間の目に触れる機会も多かったんじゃないかと思われる作品です。私はこの「猛スピードで母は」がこう、感極まるとかそういうんじゃなくて、地味に好きなお話でしてね、今でもしっかり作者の事は覚えているんですよ。
だから本屋で作者の名前を見つけたとき、ちょっと久々に何か読んでみようかなと思って買ったわけですよ。別にタイトルはこれじゃなくても買ったんですよ。でも傍目にはネタとしか見えないんじゃないかと思えなくて、ちょっと歯痒いような!ただそれだけです!


さてそのエロマンガ島ですが、ちゃんと地図にも載ってる実在の島です。知っている人は、おそらく中学生くらいの頃にこの島を発見する機会が多かったんじゃないかな…と勝手に思ってます。別にやましい事はないよ!
ちなみにこのお話の始まりは「エロマンガ島に行ってエロマンガを読もう」です。直球です。考える事は皆同じという事です。
でも中身は南の島で2泊3日の取材旅行に行っている内に、各人ささやかながら生き方に変化が起こるハートフルなお話でした。あと他に短編が4つほど。短すぎるけど女神の石みたいなお話は結構好き。最後のやつはちょっとした作者からのサプライズですね。
南の島に行くのは最初のお話だけだけど、どれもゆったりした雰囲気が何処かに感じられるお話でしたよ。