【リリー・フランキー】東京タワー オカンとボクと、時々、オトン (3日目)

東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン (新潮文庫)


もう最後の方はくどくなってきてんだばかやろーめ。オカンの病気が分かって辛気臭くなってから、闘病生活も終わってお話が締められるまでが百数十ページもあるんだこのやろーめ。
病院でベッドに寝たきりになっているオカンの姿を見るのはとても居た堪れません。哀しい気持ちにはなるのですが、なんていうか現状を素直に認める気持ちには到底なれないからでしょうか、その時は涙はほとんど出て来ないものですね。そんな感じで気分も落ち着いて眺めてる分には、オカンとの別れを惜しむよりも早く楽になってくれる方に気持ちが傾きがちになってしまいました。作者の方は感情が高ぶり過ぎているせいか、お話がノンフィクションの闘病記の様相を呈してきたりします。実際そうなんだろうけど、はっきりと自伝と言っているわけじゃない分ちょっと戸惑うところがあったかもしれません。

ただ逆に、嬉しい出来事があった時の涙腺は驚くほど緩カッタ。オカンが楽しそうにしている回想が出て来るたびにこっちもなんか嬉しくなっちゃうんですけど、これが無性に涙が出てくる。他人のオカンだとしても、もうお母さんの話は反則と言っていいくらいの効力だね。乱用厳禁だ。

面白かったんですけど、でもまあ読み終って思い返してみれば、この本の内容で泣いていたというより自分の思い出を勝手に思い出して勝手に泣いていたという感じなんですよねこれ。物語だと思うと、そんな感じで気持ちがお話から少し離れ気味になるのが少し嫌かも。自伝だと思えばまあいいかという感じですか。