隙間女(幅広) (2日目)

隙間女(幅広) (電撃文庫)


昨日読んだ二つのお話は、どんな事をされても可愛ければそれでいいという男どものだらしなさに正直若干の呆れを感じていました。しかし今日読んだ残りの短編が、私の価値観にちょっとした変化をもたらそうとは思いもしませんでしたよ。可愛くてそれでいいなら、いいじゃないか。
ちなみに残っていた短編は「デコは口ほどにものを言う」「花摘みの園で相席を」「隙間女(飽和)」の三つ。
そのお話の一つに、額に人間の口の様な出来物が出来てしまった少女のお話がありました。これも人面疽と言うんですね。漫画のブラックジャックには人間の顔がまるごと浮かびあがって最後には喋り始める人面疽のお話があったような記憶があります。切り捨ててもまた生えてくるタフなやつでした。少なくとも歓迎したい怪異の類ではなかったです。
ともあれその人面疽に罹ってしまった少女。その秘密を知った主人公くんは、その前のとその前の前の主人公くんたちの例に洩れずに可愛いからという理由で即座に受け入れます。今回もパターンが同じだったので反射的に「可愛ければそれでいいのね!このケダモノ!」と罵りたくなりましたが、ふと冷静に考えると少女は被害者的な立場にいる人間だと気が付きました。そして私は主人公くんの何を罵ろうとしたか考えました。
もうね、今回ばかりは私が悪者ね。それに額に口があるビジュアルを見たとき正直「うわっ…」とか思ったしね。そんなのお構い無しに普通に受け入れた主人公くんは本当に凄いですよ。少しでも「普通に接しよう」と思わざるを得なかった時点で私に勝ち目はありませんね。
後はトイレの花子さんのお話が一番混沌としてて面白かったですかね。死ぬのも悪くないなぁとか思いそうでした。倫理観が汚染される。
そして最後にまた隙間女が出てきましたが…、お前もう帰れ!話の山場のスケールが児童公園レベルなんだよ!もっと盛れよ!掘れよ!
まったく… ところでタンスの隙間ってどのくらい開けとけばいいんですかね?