砂漠 (2日目)

砂漠 (新潮文庫)


お話の主人公はとある大学の新入生。
気分も一新して新しい生活を過ごし始めた大学生の、無為でちょっと自堕落な日常がただ今淡々と描写されております。この毒にも薬にもならない無駄な時間の過ごし方が、今は妙に郷愁漂う感情を思い起こさせます。くそっ、私ももう若くないってことですか!
各章のタイトルに春が来て次に夏が来てと季節ごとに区分けされておりましたので、ページ数の分配量から察するに秋冬と一巡りして合わせて一年間を眺める構成にでもなっているかと思われます。それがこのお話にどう言った風味を付け加えるかはよくわからん。
今のところは大学行って講義に出て友人と麻雀して机の上だけのしょうもない議論をダラダラして彼女とデートして…と、とにかくまあ覇気のないモラトリアムタイムを登場人物たちはエンジョイなさっています。典型的な大学生のサンプルとして博物館にでも展示出来そうだ。
お話の中の生活や振る舞いはとても自然で、彼らの生活は普通で平凡だなーなんて見ていると思ってしまいます。ここでちょっと難点なのが普通に暮らしてどうして友人や彼女が出来るのか私がよく分からない事です。あれ、おかしいな。憶えがないよ?
私から見れば「普通に生活してどうしてそうなるの?」という感じなのですが、彼ら側の視点から見れば「普通に生活してどうしてそうならないの?」という感じに違いないでしょう。だってそれが普通だから。もう爆発しろって感じですよね。
あとは何かなぁ…ユーモアのセンスにいまいちピンと来ないことかなぁ。伊坂さんの冗談好きだったんだけど燻ってます。