【近藤史恵】サクリファイス (2日目)

サクリファイス (新潮文庫)

本の裏の紹介文にサスペンスと書いてある通り、単なるスポ根小説じゃなかったですぜ。ひと捻りもふた捻りもある結末は読者を楽しませてくれます。
自転車ロードレースに不慣れな人でも付いていける物語の運び方がスンバラシイ。競技のルールとか戦略とか、自転車の魅力が満載で惹き込まれちゃいます。そして一番最初に覚えた事は、ロードレースは紳士のスポーツ、これね!ただ単に自分が勝つだけが全てじゃないの。この辺はタイトル(サクリファイス=犠牲)にも反映されているのね。
そんなわけでいかなる紳士っぷりが披露されるかワクワクして読んでいましたが、正直言おう、紳士度合いが物足りない。物足りないよ!
個人的にはむしろ「紳士?」と疑問に思わなくもない結末でした。序盤中盤に人間模様がドロドロしてきた感じがあったから、そいつを吹き飛ばす爽快なものを期待し過ぎてたのかもしれない。あれ、自分が欲しかったものってストレートなスポーツ小説成分?
物足りなさもあったんですけど、なんだかなぁ、でもやっぱり地味に好き…という感想がしっくりきますなぁ。ウフフフ…