人類は衰退しました5

人類は衰退しました 5 (ガガガ文庫)


あれ、すごくおもしろいぞ。
どうもコンバンハ。こう書くと今までの4巻がつまらなかったようにしか聞こえませんが、そうじゃないんだブラザー。今回のお話は、なんだかいつものと質が違って少し戸惑ってしまっただけなんだ。(いつものじゃないけど)すごくおもしろいぞ、という心の声。(もしかしたらいつものより)おもしろいぞ、という少しの邪念もチラリ。

今まで超科学技術を持つという妖精さんの存在を盾に、現実か幻想か判別の付きにくいフリーダムでカオスな出来事が繰り広げられてきました。おかげで人類が衰退したという世界の様子がちらりと見えても、ギャグか真実なのかようわかりませぬ。ついでに主人公の調停官殿がさっぱりやる気がございませぬゆえ、まあいろいろと展開がのんびりしておりました。だいたいいつもそんな感じ。
今回は調停官殿の学舎生活時代の様子が描かれていたのですが、そこには珍しい一生懸命な姿の調停官殿がおりました。不遇な環境にひねくれながら、学び舎で少しずつ成長していく姿にじんわりと心に来るものが。ちくしょう、かなしくもねぇのになみだがでちまいそうだぜ。いつものカオスなお話だと、いろいろ起こってもいろいろ消えてしまう幻のような出来事が多かったのですが、今回のお話は全ての思い出が今もしっかり残っているちょっとほろ苦い昔の出来事でございました。

この本には2編のお話が入っているのですが、もういっこのほうはひどかったです(いつもの路線に戻った的な意味で)。前回の反動の如く全体に渡りゲームのパロディが大量に見られるのですが、読者に分からせる気などカケラも感じられない強気な態度で攻めてきます。元ネタに対する理解がなければ、即座に超シュールな話と化すスリリングな展開の連続!わけが分からなかったり読み飛ばしたと感じたら、付近にゲームネタが配置されている可能性がアリ。しかし爆発系の呪文、「(核爆)」あたりはゲーム関係ないんじゃねーか?ネタはワイドに広がっているようで、私には把握は困難のようです。でも元ネタが分かると結構うれしい。分からないと…気付かないから問題ねーや!おもしろかったですよ。