ベン・トー4 花火ちらし寿司305円

ベン・トー〈4〉花火ちらし寿司305円 (集英社スーパーダッシュ文庫)

あれ…どうしてこんなアホなお話ばかりなのに、どうしてこんなアホな登場人物ばかりなのに、どうしてこんなに清々しくて心地良い読後感に包まれているのだろう…


弁当半額を切っ掛けに起こる争奪戦を制するたの強化合宿。遠くの猛者達と戦うため、夏休みを利用して二泊三日の遠征をするのが今回のお話です。バカだ、動機が限りなくバカだ。
けれどもそこには夏休みの興奮あり、地元の人との交流あり、お泊りのワクワクあり、ドキドキイベントあり、全ての終わりにはまた一つ成長ありとどういうわけか満足感溢れる作りとなっておりました。凄い楽しそうな合宿でした。なんだ、夏の思い出としてパーフェクトじゃないか。
どういうわけか主人公以外のメンバーが女の子ばかりだけれど、どういうわけかたくさんいるのにヒロインポジションは一人しかいないのだけれど、気の合う仲間たちとバカやってる時間は一生の思い出ものですね。普通ならメインヒロインの座を狙える位置にいたかもしれない白粉さんが、もはや見る影もなく全力で腐ってしまった姿はとても清々しいものでした。どう見てもむっつりスケベな男子中学生です。ありがとうございました。女に生まれていなければ、主人公と固い友情で結ばれていたかもせしれません。アッー!!あと、一人だけヒロインを頑張る槍水先輩が挿絵でなんかむっちりしてます。タマランです。

そして相変わらずのセガ愛。尽きる事のないセガの話題は元セガサターン信者である私の思い出を静かに呼び覚まし、昔を懐かしみながらいつまでも飽きることなく聞いていられます。思い出す私がまだ子供だった頃、PSとSSがまだ勢力を争っていた時代。どちらの魅力も甲乙付け難かったけど、兄がSSを買ってきた時点で私はセガ信者として生きる事を強いられたのでした。何故なら子供の財力で2つのハードを所持することは難しかったし、こんな高価なものを二つも買うという事に対して親への遠慮があったから。一向に発売されないソニックに苛立ち、FF7がPSで発売される事を羨ましがり…。ゲーム歴が浅い私はまだ一般大衆受けする平凡なゲームがやりたかった、けどそれはPSばかりでSSにはキワモノゲームで溢れていた。だから私はセガサターン信者に成らざるを得なかった。自分の心を騙さねばならなかった。何故かPSに異常な対抗意識を燃やし、セガサターンの勝利を心から願う。自分の選択が、払ったソフト代金が無駄ではなかったと信じるために!…おっと、話がおかしな方向に逸れてしまいましたね。私は生粋のセガ信者ではありませんが、一時とはいえセガの終焉に触れた身。彼らのセガに対する愛情と哀しみは、どこか心に深く沁みるのです。


バカな事に全力を掛ける、素晴らしい事じゃないですか。