やむなく覚醒!!邪神大沼

やむなく覚醒!! 邪神大沼 (ガガガ文庫)

なんだかここ数日の日記のテンションが妙に落ち着いてて吹く。昨日は最後にハジけていたが、それ以外については色々なものが抜けた後の賢者モードのようだ。これはこれで面白いからしばらくこのノリで行ってみよう。今日もガガガ文庫である。

ある日突然、自分は邪神だと言う事を知らされるのである。人間誰しも向上心があるものだし、より優れた状態を目指そうとする心と変身願望は互いに矛盾するものでは無いと思う。だから邪神といえど新しい自分になれる機会に少なからず惹かれるものがある。名前に”神”が入っている辺りもポイントが高い。邪の方は勿論無視だ。

さて、それではこの度邪神であると知らされた主人公君はどうするのだろうか。彼の反応は実にクールだ。「僕でもなれた!」と謳う怪しげな邪神マニュアルを手に入れた時、彼は迷わず捨てたのだ。お話を根底から否定する大胆な行動だが、その判断は正直間違っていないと思うので文句は言わない。このままお話が終了しても止むなしかと思っていたところ、マニュアルに付いている18歳未満お断りの付録を前にして腹を決めてくれた。彼にはホットな面もあるようだ。

これで目出度く邪神への道を歩み出した主人公君。かわいい女の子の使い魔も召喚されて順風満帆な悪道ライフの始まりである。しかし今まで穏やかに生きてきたのに、いきなり世界に破滅をもたらしてくれと言われハイそうですかと行く訳もないだろう。頭の痛い問題であるが、悩みは誰かに相談するに限る。ある日突然自分は邪神なんだと相談された方も反応に困ると思うが、主人公に相談された級友は驚くべきノリの良さで真剣に話を聞いてくれた。彼は実に人生の楽しみ方を知っているようだ。しかもクラスメイトの多くがこの話に理解を示し、調子を合わせてくれる姿は見ているこちらも元気になってくる。日常を楽しく生きる方法を心得ている者がこんなに大勢いるとは素晴らしいクラスだ。話が進むに連れて振りではなくどうやら本気で邪神を信じているらしいと分かったときは逆に薄ら寒いものを感じたが、それは気のせいだと思い込む事にして楽しいところだけを見ることにした。

後は全編に渡る緩やかな邪神ライフを堪能するだけであるが、どいつもこいつも人生が楽しそうな奴らばかり出てくる。良いことだ。初めてのDQが7という新参者にとっては「これはいつか付いていけなくなるな」と将来の別れを予感される内容に多少の哀しみを憶えたが、その分今の楽しかったひとときを大事にしたいと思う。楽しかったです。



あ、出来たばかりの作者のHPめっけ。