【打海文三】されど修羅ゆく君は (2日目)

されど修羅ゆく君は (徳間文庫)

山奥で偶然出会った中学二年の女の子をナチュラルにナンパして山小屋へ誘う二十九独身男…
初っ端から良い夢見させてもらいましたぜ。このタラシ!

この男に掛けられた殺人容疑を巡って物語が動き出します、なんて書くとこの女の子の身が危なそうな気がしますがそうは問屋が卸さねぇ。実はこの男は無実なのかもしれない…なんて方に話が転がっちゃあこの子の立場も引っ繰り返るってもんよ。
そして事件が報道されると、この男を知る人物が別の方から動き出して同時に進むもう一つの捜査。こっちは何故かやけに"美"が頻出する還暦のご婦人で御座います。
最近出会った女の子と旧知の女性、二人に共通するのはこの男に惹かれているということ…。このタラシ!


まあこの男の事は置いておいて、この事件凄く展開が速いぞ!
二つの方向から事件に迫ってるんで当然両方の情報を知ってるのは読者である私一人な筈なんですが、この還暦姉さんは探偵やってるせいか情報が早い早い。中二の子の方は本人に直接会ったことがあるというアドバンテージがあるんですが、その時得た情報はまるで筒抜けですよ。伏線張って即回収、また伏線だ即回収、気持ちいいくらいだ。この二人が出会う時が重要なターニングポイントなんだな、なんて思ってたら姉さん速効辿り着いてるー!?


事件の容疑者である男が、直接事件の概要を中二の子に話し始めた時も驚いた。普通なら最後の最後まで引っ張るじゃん。当然このときは大事な所がはぐらかされたけどね、いま真ん中くらいまで読んだあたりでそんなとこまで話しちゃっていいの!?と思うくらいの暴露っぷり。早っ!


そして当然の如く男と中二の子の会話と同じ内容を推理でトレースする姉さんマジ有能。もどかしさゼロですな!