FRAGILE 〜さよなら月の廃墟 〜 (3)

うおー怖ぅえー。
誰かを求めて人気の多そうな場所に来たのはいいけれど、誰一人としていないと逆に怖いです。何この打ち捨てられた地下商店街。
夜が明けそうな気配はしたものの、地下に潜っちゃ意味がないよ。相変わらずサバイバルホラーやってます。


あ、誰もいないって言いましたけど、人じゃないのならいっぱいいます。壁から生える腕も下半身だけの子供もドンとこいや!良いもん食ってんだか知らないけど野良犬の体格が外よりでけー!逃げ場が無ぇー!


まあ幽霊さんが普通にいる割にはご遺体なんかが転がってるのは見ませんな。みんな死んじゃったと言うよりどっかいっちゃったのかな。…野犬に食われたとかは嫌だなぁ…。
心細い脱出劇を強いられてますが、背中に喋るラジオを背負って頑張ってます。なんか落ちてたから拾ったんだ、ラジオ。
こいつ自分の事を携帯対話型AIとか言ってますけど嘘だね。頭からでっかい八木アンテナが出てるし、二個付いてる電球は真空管だなきっと。やーいやーいこのアナログ野郎ー自分がAIだって事を証明してみろよー、なんてことは決して言わない良い子のセト君。15歳らしいけど可愛いという表現がよく似合いますなこの子。おじいさんの教育の賜物かしら。


この自称AIも話相手にはなるからいいかな。リモコンを耳に近付けるとどーでもいいことを喋ってくれます。
しかしこんなの背負うなんてセト君も物好きねーと思いながらリモコン振り振り。脱出続行中。
日の光じゃなくてもいいから外の空気が吸いたいなぁ…。ラジオやーい、さびしいから何か話しておくれよー。だんまりかー。


あ、リモコンからノイズ音が。