かぐや魔王式!

かぐや魔王式! (MF文庫J)

錦織貴は優等生である。運動神経、成績、好感度、人望共に高い彼であったが、人々の人気を得るためには努力を惜しまない腹黒少年でもあった。
そんな彼は高校の入学式を迎え、新たな場で学校の頂点を目指そうと画策する。周囲へのアピールのため慎重に事を進める錦織だったが、その前に立ちはだかる一人の少女がいた。彼女はなんと自己紹介の場で新世界の王になると宣言したのだ。
その名は輝夜真央。楽勝ムードが漂っていた錦織に、得体のしれない危機感を感じさせる存在の出現である。
ここに腹黒少年×魔王少女の物語が始まろうとしていた…。




ライトノベルはあらすじから面白さを推し量ることが困難なものなのですが、まあ十中八九これは分が悪いだろうと思った。
へっ、なーにその程度で躊躇してるようじゃこの世界に長く居続けることは出来ないぜ、と僅かな奇跡を信じる者こそ本物に出会えるそう信じてる。
読む前から諦めてどうするんだよ!できるできるやれるやれる!







奇跡は…起こらないから奇跡って言うんだよね…





冒頭、主人公の一人語りで腹黒設定とキャラクター設定をひたすら説明するブーストっぷりに、んなもん飾りだぁ!との作者の叫びを聞く。これ以降腹黒設定はお飾りとなり果てるが、まあそんなもんでしょう。
そんでヒロインの魔王こと真央だが、とりあえず自己紹介ではっちゃけさせた後クラスメイトに過去を説明させて肉付け終了。OKちゃんと聞こえたよ、これも所詮飾りなんだね?
じゃあ肝心の本編はどうなのかというと、これが実にスリリングな内容。
キャラクター同士の掛合いに力を注いだ作者だが、内容は至って王道進行とも言える作り。王道だから油断すると何処かの作品と被りかねない微妙な危うさを秘めています。面白い本は何度読んでも面白いし、好きな展開は何度繰り返されても好きだから被ることは問題じゃないんだ。ボケとツッコミを意識した会話がいけないんだ。この芸人、ポッと出てきてパッと消えていきそうなくらい微妙だ。
あ、でも全部がそうじゃないよ?キャラクター性も混乱して誰が誰だか区別が付かなくなるころ、すなわち漫才に必要なもの以外削ぎ落としたとき笑いの精が降りてくることもあった。でもそんなの望んじゃいないよ!

そんな物語もクライマックスを迎えるのだが、これが意外と壮大でスピード感がある。でも加速してヒートアップする展開に被りかねない危うさもヒートアップ!気を抜くと他の作品のレールに乗っかりかねない一進一退の攻防が続くんだが、ここが一番スリリングだったところ。どうする!もう諦めてパクっちまうか!?


と、まあそんな感じで終わっちゃいましたけど
ある意味これも期待通りさ!