シャングリ・ラ 下

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

「この作品の長所でもあり欠点でもある所は、すべてにわたって過剰であるということだ。(中略)――
――こうした過剰さをオタク的に喜ぶ読者も数多いようだが、それでも彼らがこの本を「人には薦められない」と言っているのは興味深いところだ。」

筒井康隆:解説 侵犯と越境より)


( ゚д゚) 思い当るところがあり過ぎる!
確かに分かる人に分かればいいと思ってる部分はありますし、荒唐無稽な人物描写に大喜びしてる自分がいます。オタクと言われたら…ぐ、否定できない。
それに池上センセイと出会ったのってそれほど昔でもないし、コアなファンとも言えない微妙な立場だぜーフゥーハハー。
まあ、この本をお薦めするのに関係無いけどね。
このブログが池上氏の作品をオススメしなくて何を薦めるって話ですよ。シャングリ・ラ大好きだっつーの!



ついでなんで、池上永一氏の著作リストを紹介しときたいと思います。昔読んだのってなかなか書く機会無いんだよね。

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バガージマヌパナス わが島のはなし』
第6回日本ファンタジーノベル大賞受賞したデビュー作。沖縄在住でニートの綾乃と親友のオバァ、オージャーガンマーが送るオキナワンライフの物語。
自堕落三昧な彼女らの暮らしぶりを見ると、沖縄が失業率全国NO.1の理由が垣間見えます。働かなくても生きてはいけるさー。マンガもあるけど手に入り辛い。



風車祭
バガージマヌパナスの雰囲気を受け継ぐ、オキナワンライフ第2弾。
ぶっちゃけて言うと、分量増量&オバア強化版みたいな感じかもしれん。近くの島が舞台ってだけで話の繋がりは無いです。
池上オバア界の最終兵器、フジオバァと出会えるのは風車祭だけ!マンガは全5巻でこちらもいい出来です。エピソード削られまくってるけど。



『あたしのマブイ見ませんでしたか』
これは文庫版の題名で、単行本だと「復活、ヘビ女」になってます。どちらも収録されている短編の一つです。
文章が短いから初っ端からアクセル全開、凄まじい勢いで展開する物語に氏の魅力が凝縮されてます。大笑いした次のページでしんみりさせるとか、振れ幅が極端なんですよ。だがそれがいい
現代の本土を舞台にした話もあるちょっと珍しい作品。



『レキオス』
シャングリ・ラの原型にもなったとか言われてる作品。おいおい!それじゃあレキオスが試作品みたいな言い方じゃないか。よりぶっ飛んでるだけですよ、キャラが。
全作品一の変態、サマンサ博士に出会えるのはレキオスだけ!登場人物の濃さはこの作品が一番です。



『夏化粧』
オバァからのギャグみたいな呪いで消されてしまった息子のために、母がひたすら奔走する話。笑ってすましたいけど、どうしても引きずるシリアスさがアレです。
いや、ごめんねで済まないとってあるじゃない。それでも迷いを捨てて全力疾走する母は強いです。



『ぼくのキャノン』
沖縄の戦争の歴史を題材にしたシリアス分多めな作品。ただ、どうしてもギャグが漏れてきてしまうのは仕方ないよね。本能だもんね。
過去を忘れず、未来に希望を繋ぐ物語。最後が本当にさわやかです。




シャングリ・ラ
これは紹介したからいいよね。
2006年のこのミステリーがすごい!で16位にランクインしたらいです。ミステリーって懐が広いねー。



『やどかりとペットボトル』
これはエッセイ集。
エッセイというからには実体験を元にしているんだろうけど、少年期の話が小説に勝るとも劣らないカオスっぷりなのは何故だ!これほんとにエッセイ?とか本気で思った。



テンペスト
この間散々騒いだ作品。角川大プッシュで絶賛の声が凄いね…。
実際面白いけどな!
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全体的に沖縄を舞台にした作品が多いです。そして底抜けに明るくて、制御不能なエネルギーの塊のような物語。
どれを読んでも池上氏の魅力が詰まってるんで好きなのをどうぞ。